先輩からのメッセージ

Carpe Diem (この瞬間を生きる!)

PROFILE

佐藤 理恵さん

NIC 第20期生 岡山白陵高校出身
シドニー大学獣医学部在籍

入学前のトラブル

佐藤さんは09年2月の新学期よりシドニー大学獣医学部に入学したばかり。今は解剖学を始め、朝から晩まで講義と実習三昧の日々を過ごしている。

「勉強は大変。動物の筋肉や神経の一つ一つの名前を覚えなきゃなんないし(笑)。」と明るく話す佐藤さん。実は入学前に大きなトラブルがあった。

「いよいよファンデーションの最後の試験を迎えようとしたときに、急にシドニー大学からメールが来て、『今年は希望者が多くてもう募集は締め切りました』って。当然納得いかなくて、何度も問い合わせをしたら、正式な「Rejection Letter(断り状)」まで来て。2010年の入学には優先して入れてあげるから2009年はあきらめるように言われたんです。」

愕然とし、一時は日本に帰ることまで考えたという佐藤さん。しかしその後状況は一変。定員に空きが出たということで、ファンデーションコースの成績を90%以上修めた学生2名が、追加合格を認められた。無論、佐藤さんもその一人だった。一生懸命努力している人には、WBCの時の、イチローの言葉どおり「神が降りる」のかもしれない。

高2のアメリカ研修で火がついた。

ところで、留学に興味をもったのは、高校2年の時、アメリカの高校で2週間研修を受けたあとだった。「もう、私には留学しかないって、何か燃えちゃってました(笑)。」

ちょうど同時期、ある留学斡旋業者から、頼んでもいないのにダイレクトメールが頻繁に届いていた。いろいろ読んで興味を深めていたときに、「母親が他にも方法があるんじゃないの?って、インターネットで調べてNICを見つけてきたんです。」

高2の秋、岡山でのNICの説明会に参加し、受験を決めた。「説明会にはものすごく緊張して行ったのですが、行ってみたら2組しか来てなくて(笑)。。。でもおかげで詳しく聞くことができて、即決でした。今でも岡山で説明会やっているんですか(笑)?」 はい、今でも時折やっています(笑)。

高校では吹奏楽一筋だった佐藤さんだが、高校は、岡山でもトップの進学校でほとんどの生徒は国公立大学を目指している。その中で、そのレールを外れるのはとても勇気がいることだったのではないか。「たしかに先生とは最初すったもんだありましたが、ご存知のとおりこういう性格なので(笑)。推薦状も何とか書いてもらえました。」

「NICの1年間はすごく楽しかったです。いろいろな人に出会えて、価値観も大きく変わりました。」そういう佐藤さんはNIC時代の仲間とは今でもしょっちゅうメールで連絡を取っているという。

オーストラリアに来て変わったことは何かという問いには、「オーストラリアに来たときには、『自分は日本人なんだ』ということを強く意識しすぎていたと思います。今はもっと肩の力を抜いて国籍は違えど『個』なんだという風に思えるようになりました。」
毎日が挑戦の日々

今でもホームステイをしているという佐藤さんは生活面でも大きな変化があったという。「NICでは、徹夜したりするときもたびたびありましたが、今のホストファミリーが「早く寝なさい、たくさん食べなさい。」という家庭で、今はしっかり3食食べて、睡眠も6~7時間しっかり寝ています。おかげで毎日勉強は大変ですが、充実した日々を過ごしています。」

獣医学の世界では今、アメリカの獣医学会が力を持っていて、アメリカの審査基準を満たしているかどうかが大学を選ぶ上で、とても大切だという。「日本の獣医学部は残念ながらどこもその基準を満たしていないそうなんですが、シドニー大学はそれを満たしているらしく、卒業後はアメリカの獣医学部を経なくても、資格試験は受けられるということです。」

世界最高学府での勉強は「1日1日が挑戦で、サバイバル。」という佐藤さん。NIC在学中に書いたMy Missionでのメッセージが「Carpe Diem(その瞬間を掴み取れ!)」だった。今もその気持ちに変わりはない。「日本では体験できないことばかり。一瞬一瞬を大切にして生きたいです。」
シドニーの青い空の下で、その力強い眼差しで伝えてくれた。