先輩からのメッセージ

状況は常に変化する。周りをよく見て、そのときそのときに合った判断を。

PROFILE

柳澤拓也さん

NIC 第18期生 筑波大学付属坂戸高校卒
ハートフォードシャー大学 航空工学&マネージメント専攻

音楽家の夢からDispatcherの道へ

将来の夢は『Dispatcher』だという拓也さん。ロンドンから快速電車で20分の場所に位置するハートフォードシャー大学で航空工学を学んでいるが、NICを志望した高校時代は、映画音楽を学ぶことを希望していた。
「もともと音楽が好きだったんで、それを本格的に学びたいと思って・・・。でも中学校の時から航空関係の仕事にも興味を持っていて、そして観光学→Dispatcherへと夢が変わっていきました。大好きなこと(音楽)は、仕事にしてしまうと純粋に楽しめない気がするので。」

NIC修了後にカンタベリーでファンデーションを履修していたが、その当時も大学では観光学を学ぶ予定だったという。
「実際に大学を選んだときも第一志望はサリー大学の観光学科。でも突然、航空工学に進みたいと思って、ハートフォードシャーに変更したんです。決め手は大学見学でした。そのときのスタッフの対応や、雰囲気、でも何よりも自分が来年この大学で学ぶんだ、というイメージがしっかり作れるか。そのイメージがしっくりきたのが今の大学なんです。」

大学1年目の今年は、航空デザインやコンピューター、統計学など基礎的な科目を学び、2年目から本格的な専門教科に進む。3年目は実際に航空会社での実務経験を積んで4年目に大学に戻り卒業するという、イギリスの大学ならではのサンドウィッチコースである。

高校は、国立筑波大学の付属で、工業科を中心とした実業高校だが、当時極めて高い成績を修めていた拓也さんは、そのまま筑波大学への推薦入学を担任の先生から勧められた。
「実際に大学を見学したりもしたのですが、どうもしっくりこない。そうやって悩んでいたときにNICを見つけて、ココだったらがんばれそうだと思ったんです。」

担任の先生に思いを打ち明けたが、あからさまに反対された。
「普通に大学行って、短期留学すればいいじゃん。」

NICを受験するにあたり、入学希望理由書を書いて先生のところに添削してもらおうと持っていくと、そこでも先生にどなられた。
「ふざけるなよ、こんな中途半端な気持ちで留学なんか成功すると思ってんのか!」

それでも拓也さんは負けずに自分の意志を貫き通し、特別奨学生入試を受験。そして見事奨学金をもらい合格した。
「今考えると、あのときの先生の言葉がなかったら、自分は今ここにいなかったかもしれません。」

NIC入学時は、INという下から3番目のクラスからスタートしたが、2学期にはクラスをスキップしてLAに進級。3学期にはまたスキップしてアカデミック(教養課程)に進級した。「NICで出会った友達は一生の宝。全国から学生が集まって共に学んで、そして今は世界中で勉強している。今でもメールや電話で連絡をとって、互いに励ましあっています。」

先生の反対を押し切ってNIC入学

ハートフォードシャーでは、イギリス人の友達がたくさん出来た。
「フットサルのチームをつくって、毎週水曜日に試合をやっています。『SpritFires』っていうチーム名で。1年間のリーグ戦なんです。」

また、生活費を賄うためにアルバイトも始めた。
「ファンデーションの時には、レストランで、ギターの弾き語りのバイトをしていました。日本語と英語の両方で歌を歌って・・・。時給は1000円くらいで、月6万くらい稼いでいました。今はSt.Albansという隣町の『SUKIYAKI』という日本食レストランで、キッチンヘルパーをやってます。時給が約1200円、月9万円くらいになります。」

ついこの間は、ANAで働いているNICの先輩から、ANAの現役Dispatcherの人を紹介してもらい、いろいろ話を聞くこともできた。 「めちゃめちゃかっこよかったです。自分も早くああなれるよう、がんばりたい。」

先生の反対を押し切ってNICに入学した原動力は、自分がやりたいことを持っているかどうかだという。
「だからといってそのことが確固たるものでなくていいんです。自分の場合も、とりあえず英語ができるようになりたい、と思って、本当に行きたいという気持ちを持ち続けました。負けず嫌いなくらいがちょうどいい。」

挫折したことはまだないという。きっとこれから壁にもたくさんぶち当たるだろう。でも独特のポジティブなオーラといい意味の頑固さで、どんな大きな壁でも乗り越えるんだろうな、という安心感を与えてくれるのが、拓也という人間なのである。

最後に、後輩たちへのメッセージ。
『状況は常に変化する。周りをよく見て、そのときそのときに合った判断を。でも直感を忘れずに!これ重要。』