先輩からのメッセージ

黙っていたら何も始まらない 自分から行動を起こしていけるようになりました

PROFILE

渡辺恵智さん

NIC 第11期生 新潟県立柏崎高校出身
カリフォルニア大学サンタバーバラ校物理学部4年

高校の通知表には、ズラーっと2が並んでいました。

TVゲームにアウトドア、釣り、スケボーと、友達と遊んでばかりの高校時代。言い換えれば全然勉強しない高校生で、通知表には2がズラーっと並んでいましたね。だけど学校は県では有数の進学校で、クラスメイトもみんな大学進学を目指しているような環境だったから、僕も大学には進むつもりでいたんです。けれど、成績は最悪。順位も下から数えた方が早かったので「自分でも行ける大学でいいや」くらいにしか考えていませんでした。

ただ、学部だけは決めていたんですよ。7歳の時に見たハレー彗星がとても印象的で、「天体・宇宙系」への志望だけは揺らぐことはありませんでした。高校に入ってから、日本の著名な天文学者の本を読んでいて、天文物理学の分野はアメリカがトップレベルであることや、論文発表やシンポジウムもすべて英語で行われていることを知っていたので、アメリカで英語力と最先端の学問を学びたいと思ったんです。それで、3年生の時に留学を決意しました。

NICでの1年間は、高校時代とは180度正反対の日々。

NICでは、会話力はもちろんだけど、アメリカで大学生として過ごすために必要な知識とか、暮らし方、文化の違いなども教えてくれたのが良かったですね。エッセイの書き方一つ取ってもそうなんですが、知らないで来ていたら授業についていくのはもっと大変だったろうなと思うことばかり。高校でいくら英語を勉強したからって、エッセイを書く時に、イントロダクションがあって、サポーティングアイデアがいくつかあって、最後にコンクルージョンで締める、なんてことできませんよ。入学当初は、英文法も、be動詞も曖昧でしたから、かなり勉強しましたね。学校と家との往復の2時間で宿題を終わらせ、そのほかの時間は予習復習に充てる毎日。だけど、勉強が理解できるようになると楽しくなって、かなりの量を勉強したはずなのに、楽しかった印象のほうが強いんです。結果として成績もほとんどAクリア。NICの1年間は、高校時代とは180度正反対でしたね。

勉強とプライベートの両方に全力投球しています。

渡米後は、カリフォルニア州北部レディングにある短大のシャスタカレッジに入学、4年制大学への編入を前提にして一般教養を勉強していました。短大時代の成績で編入できる学校が決まってきますから、最初から成績は意識していましたね。分からないこところはすぐに質問するなどして自分の中で疑問を残さないよう勉強を続けた結果、Bを1つ取っただけであとはAの成績に。おかげでいくつかの大学に合格し、最終的には同じく物理のレベルが高いバークレー校と迷った末に、サンタバーバラ校に決めました。今は、「熱力学」と「太陽系」、「物理数学」などを学んでいます。この大学の物理学科は「学校の看板学部」と言われるだけあってレベルが高く、学生に要求される知識のレベルも当然高い。ついていくのに必死で、すがりつくような感じです。そこで、週に何日か、同じクラスの仲のいい友達と夜に集まって、一緒に宿題や勉強をしています。分からないところをディスカッションしながら進めていくので、一人で勉強しているよりとてもためになりますね。プライベートでも日本人のサッカーチームを作って大学のリーグ戦に参加したり、西海岸をドライブ横断したり。趣味を通して知り合った友達を通じて、勉強だけでなくいろいろな経験を楽しんでいます。

黙っていたら、何も始まらないことに気付きました。

アメリカに来て、積極的になりました。日本にいた頃も決して消極的ではなかったんですが、自分のグループの中だけで発言する程度の積極性だったんです。でも今は、仲良くなれそうな人に出会ったらアメリカ式に「友達になろうよ」と声をかけたり、知らない人とでも気軽にジョークを言い合ったりするように。黙っていたら何も始まらないことに気づいて、何でも口に出して言うようになりましたね。勉強も同じで、勉強したいことがあったら自分からどんどんカウンセラーに相談しています。事が起こるのを待っていないで、自分から行動を起こしていけるようになりました。

目の前のことを1つずつきっちり学んでいきます。

 大学院へ進学しようと考えています。天体物理を究めると研究者に行きつくんですが、今はまだ「将来どうするか」ということについて、深く考えてはいません。それよりも、知りたいことややりたいことがたくさん残っているので、まずは目の前のことを1つずつきっちりと学んでいこうと思います。こうして経験を積み重ねていくうちに、将来はおのずと見えてくると思うんですよ。

やりたいことがあるなら、すぐに行動に移したほうがいい。

やりたいことがあるなら、その「やりたい気持ち」があるうちに行動に移したほうがいい。先のことを心配するより、「今」を大事にすること。そうすれば自然と道は開けていくもんですよ。