先輩からのメッセージ

NICは私の青春

PROFILE

落合真理さん

NIC 第14期生 中京大学附属中京高校出身
カリフォルニア大学サンタクルーズ校海洋分子微生物研究所勤務 カリフォルニア大学サンタクルーズ校海洋生物学部卒

NICは私の青春

10歳の時に、テレビでシャチを見て、シャチに携わる仕事をしたいと思ったという真理さんは、中学・高校時代はシャチのことばかり考えていたという。そして部活動も、『シャチに近づきたい』という思いから、水泳部を選んだ。

高3の秋頃まで普通に日本の大学を受験するつもりだったが、偶然NICの資料に目がいった。

それまでは留学は一部のお金持ちの人だけのものだと思っていたが、アメリカの大学では、日本ではまずない海洋生物学部が存在することを知り、留学しようと即決した。

NICでは、初めての親元を離れての生活、英語での授業、見知らぬ街での暮らしなど、最初は慣れないことばかりだっりで戸惑ったと言う。
「それを乗り越えたおかげで、アメリカに来ても特にホームシックにはなりませんでした。今思えば、たった1年の中にかけがえのない思い出がぎっしり詰まっています。あの時がむしゃらに頑張った自分がいるので、挫折しそうになっても負けない強さがみについたんだと思います。」そして、「英語も、突然聞こえるようになったり話せるようにはなりませんでした(笑)。地道な努力がすべてです。」

NICでは下から2番目のLIというクラスから始まった。初めて受けたTOEFLの点数は350点。
「LIのクラスで頑張ってオールAをとって、次の学期にはHIに飛び級しました。都内の月4万円以下の女子寮に住んで、4人部屋で、他にもNIC生が何人もいて。みんなで寝ないで勉強したり、電車が混んでるからって、歩いて寮まで帰ったり、ゴスペルのサークルをやったり、一緒に泣いて笑って。。。NICがなかったら、今の私はいない。本当に私の青春そのものです。」NIC最後の学期でTOEFLの点数は520点まで上がり、サマーブリッジプログラムでもアカデミックから始まった。

NIC修了後に進学したのはフットヒルカレッジ。ここは留学生が多く、いろいろな国からの留学生と友達になれたという。 「アメリカの生活になじむには、とってもいい環境でした。」

シャチに魅せられて

フットヒルでは、数学、化学や生物を中心に勉強したが、どれだけやっても成績が伸びなかった。
「高校時代から理系科目が苦手で。。。途中で何度も挫折しそうになりましたが、海洋生物学部に編入することを諦められずに、Tutoring Centerにも通って、毎日必死で勉強してました。」

2年間の努力の末、UCサンタクルーズに編入した。「いろいろ探したんですが、海洋生物学の勉強が一番充実しているのが、サンタクルーズだったんです。」不思議なことに、サンタクルーズに編入後は、理系科目が得意になっていた。「あれだけ苦手だったのに、いつのまにか理解できるようになっていました。難しい専門分野の勉強もどんどんわかって楽しいと思えるようになりました。」

フットヒルを卒業直後の夏休み、そして翌年の夏休みと、2度、カナダのバンクーバー島に行って、シャチの研究者の元でボランティアとして二ヶ月間働いた。「そこへ行くのが子供の頃からの夢だったんです。バンクーバーの上に無人島があるのですが、そこに研究施設があって、シャチの音声を24時間録音したり、野生のシャチの行動を把握するリサーチをしました。」

現在は海に生息するバクテリアの遺伝子レベルの研究をサポートする仕事に就いている。
「ずっと研究職に就きたいと思っていたので、学位を取った時点で研究室で働けることができて恵まれてるなと思います。」

大学4年生の夏から教授の研究室でインターンシップを始め、その半年後卒業と同時にフルタイムで仕事をもらった。
「知れば知るほど奥が深い分野で、毎日新しい発見があり、仕事はとても楽しいです。研究題材であるシアノバクテリアは地球温暖化の解決策にもつながる可能性があると注目されているので、少しでも研究が環境改善の役に立てればと思います。」

自分を信じてくれた両親に感謝

将来の夢について聞くと、今はまだ夢の途中だという。
「今は主に、分子レベルの研究をやっています。最終的には、大学院に行って、海の捕食者であるシャチが生息し続けられるような、汚染物質を減らして海洋環境を維持するための研究、貢献していくのが私の夢です。」

「やりたいことがあるって幸せなことだと思います。肝心なのは途中で投げ出したり諦めたりしないことです。目標に向かって日々努力しながらすごしていると、気付かないうちにも少しずつでも夢に近づいているものです。途中で何度壁にぶつかっても、自分には才能がない、向いていないと思ったとしても、何年かかってもあきらめない、っていう気持ちが大事。苦手なこともやり続けていると得意になります。そうしていると、どんなにつらいことや大変なことがあっても幸せでいられるし、不平不満は出てこないです。」

「留学生活を通して、想像以上に学ぶことがたくさんありますよ。」という真理さんは、最後に両親へのメッセージとしてこう言った。

「4年間、苦労して学費を出してくれて、本当に感謝しています。自分のやりたいことを、反対せずに、そして途中であきらめそうになった時も信じてくれた。たまに電話すると『みんな元気だよ。』って言ってくれて、その支えがなかったら、4年間頑張れなかったと思います。やっと自立できたので、これからは家族旅行をプレゼントしたり、少しずつ恩返ししていきたいです。」