第29期生メッセージ集【東京校編】

その人にしか見えない“壁”がある

その人にしか見えない“壁”がある

「NIC に行きたい」
きっかけは兄が入学を決めたことだった。NIC に入学してからどんどん変わっていく兄を見て、自分もこうなりたいと憧れを抱いていた。だけど、正直言って最初は英語を話せるってかっこいい!くらいの自分の将来のビジョンも見えていない軽い気持ちだった。

私のそんな甘い気持ちに鞭打ったのが、高校3年のイギリス留学での経験だった。私にとっては初めての一人旅、しかも海外旅行で、ただただ不安しかなかった。でも、英語の授業は一番得意な科目だったし、自分の英語力に多少の自信さえあった。しかし、イギリスに着いた途端にそんな自信は砕け散った。まず、入国管理官が何を言ってるのかわからない。
しっかりと何を聞かれるのか予習をしていたにも関わらずだ。
そして、授業でもボロボロだった。先生は何を言ってるのかわからないし、同じレベルの生徒が集まったクラスのはずが、私以外皆、積極的に意見を発表していた。日本語で考えが浮かんでも、それを英語にすることが出来ず、ただ下を向いて冷や汗をかくことしかできなかった。私はイギリスに来て初めて挫折というものを味わった。

ただ、イギリスで得たものはそれ以上に多かった。行く前は、日本人は優しい、外国人は冷たいと考えていたが、日本にいる以上にイギリスで私は人の優しさに触れた。英語がまともに話せない私に、入国管理官の方は日本語で丁寧にどの駅を使うのかまで教えてくれた。
授業が難しいと先生に言うと、やり方を工夫してわかりやすくしてれた。他にも駅で重い鞄を持っていたら、女性の方が運ぶのを手伝ってくれたり。私の考えていた事は、すべて偏見だったのだと知った。

どうして父が私に何度も海外に行け、と言っていたのか今ならわかる。それは将来の仕事に役立つという事だけではない。単純に日本にいるだけでは、わからない事があるからだ。
私はイギリスに行って、自分の乗り越えるべき壁を見つけた。NIC は、そんな私に変わるチャンスをくれた場所だ。

PROFILE

Yuka Suzuki
北海道・北海道立帯広緑陽高校出身
イギリス国立コベントリー大学進学