【#海外医学部体験談】ヨーロッパで医学を学ぶ

ブルガリア国立ソフィア医科大学医学部で学ぶ、長谷部さんから、近況レポートが届きました。

ここがポイント

1. ブルガリアで最もレベルの高い医科大学
2. 日本人がほとんどいない
3. やる気がないとついていけない
4. 観光地としてはマイナーだが、日帰り旅行で楽しめる場所がたくさんある
5. 本気で医学部を学びたい人には最適の環境

ソフィア医科大学について

近年トレンド化してきている海外の医学部を卒業して日本で医師になるという選択肢として私はソフィア医科大学を選びました。 (以降MUSと表記します。) MUSはアジア人がごく少数で日本人は私を含めて4人しか在籍していません。4年生と3年生に一人ずつ、そして同じくNICの同級生が一人います。同級生の方以外はなんらかの形で海外の大学を経て入学してきているので、私の代(2019年入学)がはじめて日本人がダイレクトにきたケースになると思います。MUSは国内で一番レベルの高い学校ということもあり、ドイツやイタリアなどのEUからの留学生が多く皆ネイティブ並みに話せる人達ばかりです。大まかなスケジュールとしは2学期制で一学期が10月の半ばから2月の半ばまであります。その間に2〜3週間のクリスマスホリデーを挟みます。二学期は2月の半ばから7月末までで、間にイースターホリデーを挟んで最後の一ヶ月はテスト期間です。

医学部の仲間たち

世界から医学生が集まる大学

医学部でEnglishコースを受講しているのは約300人で、彼らはまず2つのストリームに振り分けられます。これによりレクチャー(講義形式の授業)の時間が2つに分けられます。さらにそれがグループ(1グループ最大12人)に細分化されています。ほとんどこのグループのメンバーで一緒に授業を受けるので構成はかなり大事です。わたしの場合、11人中9人がドイツ人なのでかなり苦労していますが良い人ばかりなのでなんとかやっていけています。

授業についてはレクチャーとセミナーがあります。違いとして、レクチャーは大人数で受けて参加しなくても単位には関わりません。しかしセミナーは少人数で3回以上休むと単位に関わってきます。セミナーは日本でいう「ゼミ」のような感じです。ひとコマは日本と同じ90分で統一されていますが、学年が上がるとひとコマが長くなる教科もあるようです。一年生の一学期の教科は、

– Anatomy (解剖学)
– Biology(生物学)
– Cytology (細胞学)
– Medical Chemistry(薬化学)
– Medical Physics (医学物理学)
– Medical Ethics (医療倫理)
– Bulgarian Language (ブルガリア語)
– Latin Language (ラテン語)

基本的にそれぞれレクチャーとセミナーが一コマずつの17コマあります。ブルガリア語とラテン語のみレクチャーなしですが、ブルガリア語は週に4コマあってこれが3年間続きます。MUSは他の大学に比べてBiologyとAnatomy (Cytologyも含む) のデパートメントがかなり特化しておりテストがかなり難しいと言われています。他の特徴としては日本の医学部では絶対に1年生から始めない教科がいくつか入っているということです。

テストについてはColloquiumとよばれる中間テストのようなものとFinal Examの2種類あります。成績の付け方は6段階評価で3以上がごうかくです。Colloquiumは最終の成績にはあまり影響しませんが、悪くてもいいという考えではなく悪かったとしても気にしないという認識を持っておくべきだと思います。あくまで成績にそこまで関わらないから勉強しなくてもいいというわけではありません。 一方FinalはそれまでのColloquiumがどれだけ良くてもそこで落とすと単位を落としたことになってしまいます。テストの流れは教科によって違いますが、日本のシステムと違っているのは明らかです。簡単にいうと、WrittenとOralの両方のパートがあるのはもちろんですが、自分でチケットを引くので全員が違う問題を答えるということです。細かい流れや雰囲気の違いはやってみないとわからないと思います。一つ言えることは、表面的な記憶や理解では絶対に突破出来ないということです。

実際わたしも学期末のCytologyのテストをを落とした後でこれを書いています。結果的に一発で合格したのが全体の3〜4割くらいなのでかなり大変だと思います。再試はまとめて今年の9月にあります。日本の大学のようにすぐ再試があったり、レポートでなんとかなったりはしません。年間で単位を3つ以上落とすと留年で、2つまでは持ち越し可能(年によって違う)です。しかし学年が上がるごとにどんどん難しくなっていくので持ち越しは避けて次でなんとかパス出来るように頑張りたいと思います。全体としても 3、4回受ける人は少なくないのでおかしい事ではありませんが、後の負担の比重がかなりきついと思います。

日本の大学とは根本的にシステムが違うのでやってみなければわからないことも多いと思います。わたしは最初の半年間は慣れるための期間だと思います。Colloquium を通してやっていく中でFinalにつながる自分のやり方を見つけてそれを確立していくべきだと思います。とはいっても、知識量がないと話にならないのでそこは努力しかないかなと思います。

ここからは大学選びについての話をします。MUSははっきり言って難しいです。もし日本で国試を受けて医師になることだけが最終目標なのであれば、他の大学でもいいと思います。国試を受けるための日本語での知識はまた新しく覚え直さないといけません。そうであれば卒業資格を受け取るために他の学校に行っても同じことですよね。もしEU圏内で医師として働くのならば、それはひとつのネームバリューになるかもしれませんが、そうでないのであればわざわざレベルの高い学校に来る必要はないと思います。もう一つは他の大学にはMUSへのトランスファーのシステムがあるのに対してMUSからのトランスファーはできないという点です。つまり難しいからといって他の学校への編入は出来ないし、他の学校に入学してもMUSの卒業資格を取ること(もちろん編入試験や他の条件をみたして)が可能だということです。

このように最後は悪口のようになってしまいましたが、私はMUSにきたことを後悔している訳ではなくブルガリアに留学する時に知っておいた方がよいことを言ったまでです。ここを卒業することが自分にとってのステータスにもなるし、なにより周りの人達に恵まれているなと思います。もしMUSに来たい明確な理由があるのであればそれを変えるべきではないし最後までそれを通すべきだと思います。ちなみに余談ですがPlevenへの進学は日本の斡旋業者があるのでたくさんの日本人がいます。そこから来た人に話を聞くとレベル感は全く違うようです。

ソフィアの街について

ソフィア医科大学

ヨーロッパの歴史ある美しい街並み

ソフィアは海がないことや空気が少し汚いことを除いてはすごくいいところだと思います。気候的にも日本と似ているので比較的過ごしやすいです。しかしちゃんとした日本料理を食べれるところはほとんどないので日本食はだいぶ恋しくなります。お米も売られてることには売られていますが、やはりパンに偏りがちになってしまいます。あとたしかにヨーグルトは多く置かれてあるので腸内環境も日本にいる時より良くなると思います(笑)。とにかく食べ物に関してそこまで心配はしなくていいとおもいます。

住むところについては学生ならシェアが一般的で、私もそうしていますが絶対に引っ越ししたいと思っています。なぜかというと片付けをしないから!相手を見つける段階で自分なりのチェックポイントをつくっておいて全て満たした人とか、ほんとによく気の合う人だけでシェアはするべきだと痛感しました。ひとりで住むとなると600BGN〜が相場で、二人でのシェアだと450BGN〜と値段は少し高くなりますが自分に合った環境を整えるべきだと思います。位置は学校の近くか、学校の近くの駅までダイレクトでいけるラインの沿線などのことを考慮するとうまくいくと思います。

首都ということもあり交通システムはしっかりと発達しており、トラム、バスまたは地下鉄によってはりめぐらされているのでそこの関しては心配ないでしょう。それぞれ一回の乗車で1.60BGNとなっていますが、学生になったらトランスポーテーションカードを作るので断然やすくなります。一つのラインで1ヶ月9BGN, 全てのラインで 約21BGNくらいだったと思います。期限切れのままそのまま乗っていたりするとペナルティーとして30BGN徴収されます。またタクシーも比較的安いので大荷物を持って空港などに移動するときは使っても良いかもしれません。

ソフィアは観光地としてはかなりマイナーですが、観光地は密集しているので周りやすいです。世界遺産もいくつかありますが、遺跡のような観光地に比べては自然を活かしたレジャー業の方が栄えていると思います。ソフィアからVitosha mountain を望むことができ、ハイキングやスキーがかなり盛んです。実際、スキー場はソフィアから車で30分ほどのところに位置しておりかなりアクセスしやすいです。休みの期間などは日帰りでこのようなことをしてみるのも良いかもしれません。

これから、海外医学部を目指す人へ

これからNICに入学してくる皆さんは自分なりの夢や考えを持って来ていると思います。NICはそれらを尊重して夢を叶えるための手伝いはしてくれますが、そこから先はすべて自分次第です。だから妥協していたり、強制された選択肢だと絶対に続きません。そういう意味ではNICはそれらのことが本当に自分のやりたいことなのかを見つめ直す場所でもあると思います。なぜならいろんな人がいていろんな価値観を知ることができるから。

世の中、文句を言ってもしょうがないことなんてたくさんあります。しかしその状況を打開できるのは自分だけです。そしてNICにくるからには自分の選択に妥協してほしくありません。それは一般的にはかなり異端なことであって、普通の事ではありません。だからこそ家族に感謝して、周りを見返すくらいの覚悟で頑張って欲しいと思います。(2020年2月)

長谷部恭平さん
香川県藤井高校出身/ NIC大阪校第7期生
ブルガリア国立ソフィア医科大学医学部在学中