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同窓生インタビュー

<2008年初頭>
須田洋史さん NIC第11期生 新潟県立佐渡高校卒
グラスゴー美術大学院美術専攻、米国・シカゴ美術大学美術科卒業

現地で"生きよう"と思う事で得るMOBILITY、適応能力が自然に作風にも現れてくる

◆自由の中で育った鳥はたくましい


洋史さんは、シカゴ美術大学を卒業後、数年間のアーティスト生活の後に、大学院へ進学した。そこは、世界を代表するグラスゴー美術大学。世界各国から新鋭アーティストが集まってくる。
「日本の教育と海外の教育を比較すると、鶏にたとえるなら、日本はブロイラーで、海外は野放しに近い地鶏。やっぱり自由の中で育った鳥はしなやかでたくましい。」

高校時代は、生物学部の進路を考えていたという洋史さんだが、
「遺伝子工学や遺伝子構造と仕組みについての科学的なアプローチよりも、むしろ表現や現象などが複雑に記号化されているアートの持つ寓意と人の“心”を結びつける“遺伝子的な何か”に興味が移り変わったんです。日本の大学では進路変更が難しく、浪人する勇気とお金に自信がなく途方に暮れていたときに、たまたま妹が請求していたNICのパンフレットに目が止まり、アメリカの教育システムが融合されたカリキュラムとその後の多様で柔軟な進路の可能性に魅力を感じて、留学を決意しました。」

NIC修了後は、ニューヨーク州のモホークバレーカレッジに進学。4年制大学に編入するための制作活動に勤しんだ。アメリカ現代美術界に影響を与える全米トップのイエール大学やコロンビア大学に並ぶ影響力を持つシカゴ美術大学に編入する。シカゴ美大の先輩には、あの偉大なウォルト・ディズニーがいる。世界最高峰と言われる美術大学で、ストイックな生活を送りながら、自分の生き方を追求していった。

卒業後は、アメリカで数年生活した後、イタリアの美術学校で教員助手をつとめたり、ふるさと佐渡で制作活動に没頭した。そして2007年、グラスゴーに渡る。高い受験倍率を潜り抜けてきた、世界のアーティスト20人が、スコットランドの小さな町に集結した。
「シカゴ時代の先生が作風を見て薦めてくれた事と、実際に卒業して活動している作家のコミュニュティーがある事でリサーチを進めていました。そして、一次試験に受かって、面接の時に実際に直接訪れてみて、環境が大都市にはない素朴感と荒々しさが自分に必要だと感じたこと。ヨーロッパをはじめいろんな国籍を持った人達が集う場所であって、小さなコミュニュティーで人との結びつきが強い事が魅力的だったのが、グラスゴーを選んだ大きな理由です。」

◆「生きる」意欲

グラスゴーに来て、改めて考えた日本そして家族への思い。
「いろんな事を日本に置き忘れてきたような気持ちが常にあって、それは物質的な事ではなく今まで気づかなかったあたりまえのような家族や周りの人の言葉や伝統的な深い文化を、新しい目で見たいと思う事が、たくさんありました。」

イギリスに来て、作品にも変化がある気がすると尋ねると、
「まだ、変化の途中なのでよくわからないのですが・・・。今の自分と作品はきっと想像していなかったとおもうんです。もちろん、まだこうなりたいというのがあるんですが・・・。一番、変わったと思うのは・・・現地で"生きよう"と思う事で得るMOBILITY、適応能力が自然に作風にも現れてくるのだと思います。」

大学院を出たあともアーティストとしての活動は続く。アーティストとしての人生に「卒業」はない。
「商業的に成功する作家になりたいというよりも、いい作品をつくる作家になりたい。今までの経験を生かして海外の人も参加できるレジデンスをいつか生まれた場所に戻ってやってみたいですね。まだまだ、先の話ですけれどね・・・。」


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