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同窓生インタビュー

NIC Interview 2007 SUMMER in U.S.A. 厳しさの先に、夢がある、海外進学
栗本 貴子さん NIC第13期生 千葉県立市川東高校出身
カリフォルニア州立大学フレズノ校物理学部卒業 現在大学院修士課程物理学専攻2年(08年5月卒業)
California State University, Fresno BS in Physics - MS in Physics


「アメリカに来て、自分に誇りが持てるようになった。」

現在貴子さんは、放射線の研究をしている。Biophysics(生物物理学)の分野で、植物に放射線を当てて、成長の促進を測っている。「放射線ってネガティブなイメージが強いですけど、がん治療のようにレベルを変えて使えばなんとかなるのではないかと。植物で放射線被害の『ものさし』が作れれば、被曝量の正確な測定が大変困難な放射線災害の現場で役立つかも。将来的には実験データを基に放射線の影響が現れるDNAや細胞を特定してもらうこともできるかなと思って地道にぺんぺん草に放射線当てています(笑)」

はじめは、アスレティック・トレーニングを学ぶ予定でフレズノに来た貴子さん、どういうわけで物理学に変わったのだろうか。「アスレティック・トレーニングを専攻するために必修だった物理学の科目をとったら、とても楽しかったんです。先生がとても良かったんですけれど、次の学期も同じ先生の別の科目のクラスをとって、それで学部変更を決めたんです。」

高校時代は、文系でしかも英語コースだった貴子さん、しかも物理学を専攻するのは大変だったのではないだろうか。「実際、大変でした。物理も最初は楽しかったんですが、3年になったら突然難しくなって。。。 数学も何度も落第するし、生活面でも大変なことが重なって、途中からは、成績もどうでもよくなって、とにかく卒業することだけ目指しました。」当然大学院を狙える成績ではなかったが、4年生に上がる前に、『悔いのないように、全部真剣に取り組もう』と決意した。「そこから突然勉強が楽しくなったんです。もともとあまり人に助けを求めるのが上手ではなく、一人で抱え込む方だったんですが、最後の1年はもうやけっぱちで(笑)、

つらいときに泣き、教授にも自然と助けを求めるようになったんです。同時に自分が留学生だという意識もすっかりなくなっていました。」

そうした中、物理学探求への欲が深まり大学院進学を考え始めた。しかし時すでに遅し、UCを始めとするトップの大学院はすでに願書の締切期限が過ぎており、フレズノの大学院に何とか滑り込んだ。

「ちょうど妹がNICに入りたいと言い出し、学費の問題が出たので、焦って、学部やDepartmentに交渉しに行きました。」成績的にはとうてい奨学金をもらえるレベルではなかったが、担当の教授たちが一生懸命奨学金を探してくれて、学部とDepartment両方から奨学金をもらった。しかしそれでもまだ足らない。そこで担当教授は、物理学部の予算から『無理やり』奨学金の名前をつけて、貴子さんに授与した。結果として授業料が全額免除となる。
「生活を支えるためにTA(Teaching Assistant)として、学部生の、物理学のラボを受け持っています。一番最初にLectureをしたときの緊張感は、アメリカに来て初めてクラスに出たときの緊張感と同じでした。」懇切丁寧な指導は、学生からの評判も上々で、なんと2006-07年度のアメリカ物理教育学会(American Association of Physics Teachers)のOutstanding TA(最優秀助手賞)を受賞した。「自分が劣等生だったので、出来ない子の気持ちもわかるんです。だからこそ丁寧に教えたり、基礎的な質問にもちゃんと答えるようにして。。。」「TAのお給料は毎月900ドル(約10万円)ほどで、あとは細々と学部レベルのPrivate Tutorをして食いつないでます(笑)。」

「好きだから出来たんです。勉強も暮らしも、やめたくなることも何度もあったけれど、好きだから続けてこれたんだと思います。」来年は、Ph.D(博士課程)に進級予定。今のところUCLA、UCSFを初めとするUC群を考えている。「なんとか博士課程の3年目に編入できそうなので、3年以内には博士号をとれると思います。今よりも多少、待遇も良くなりそうです(笑)。」

「私は実は、できれば日本に帰りたくないんです。高校まで、自分への評価がとても低くて、常にあきらめることを周りから押しつけられていました。でもNICで、そしてアメリカに来てから、『自分に自信をもつこと』を教わったし、『自分を好きになること』を学びました。結果として自分で選んだ人生に誇りをもてりようになったんです。」

高校の先生には、NIC進学をかたくなに反対されたそう。「『どうせ2年くらいで帰ってきて、ちょっと英語が出来るOLになるんでしょ?』って、かなりひどいことを言われました。高校にはあまりいい思い出はないですね。」

「でも、もし生徒が留学したい、と言ってきたら、せっかくだから挑戦させてほしい。18歳、19歳というのは、人生で一番悩んで、感じて、無謀だと思われるようなことにも挑戦したり、不安で頭がいっぱいになったりする時期。せっかくチャレンジしたいと思ったときに、背中を押してくれる人がいないと。。。自分で自分の人生に見切りをつけるようになってしまいます。それだけは避けてほしい。」

この取材の2日後に、プラハ(チェコ)で行なわれる学会に参加する貴子さんだが、実は3姉兄妹の末っ子、絢子さんがNICの第19期生、そしてさらに真ん中の長男航さんが20期生の9月入学生として入学する。『子どもが終わったら今度は父親が入学予定です(笑)』とは栗本家を仕切るお母さんの言葉。

将来の夢としては、「TAの仕事を通して、物理の教育にも興味をもちはじめました。小さい子どもの理科教育にも携わるのもいいですね。」
貴子先生に物理を教わっていたらきっと人生は変わっていただろう。。。

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