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同窓生インタビュー

<2004年>
大城昌彦さん NIC第14期生 沖縄県立首里高校出身
カーディフ大学ジャーナリズム学部


「自分を追い込む。」

「自分がどう書かれるか興味があって、今回インタビューを受けたいと思ったんです。」
大学内のラウンジで待ち合わせ、席に着くやいなや大城さんは開口一番そう切り出した。
情報を伝える仕事に就くことを目指し、ジャーナリズムを専攻する大城さん。留学に至った経緯、そしてイギリスを選んだ理由を語ってもらいました。



イギリスで感じる大人の成熟度


この前、日本に帰って強く感じたのは、大人がみんな電車の中でスポーツ新聞を読んでいるということ。こっちではちゃんとした大人は一般誌(Quality Paper)を読んでいますよ。インディペンデントとかフィナンシャル・タイムズとか・・・。この人々のメディアに対する関心は大きく違います。いま、ジャーナリズムを専攻しているんですけど、ジャーナリズムを極めるには政治も経済も幅広く学ばなければならないですよね。すべてつながっていますから。でもそれ以上に大事だと思うのが、成熟度というか自立心というか・・・。それをこっちで肌で感じながら身に付けたいと思っています。
そういえば今学期から毎月6万円の奨学金を沖縄県から貰えるようになりました。奨学金とは言っても実際には将来全額返済しないといけないのですが、やっぱり自立している感じはありますね。でも、そういうのはこっちでは当たり前のこと。日本は有名大学を出てもフリーターになる時代。それならたとえ有名大学を出なくも海外で自立心やバイタリティーを高めてきたほうが、後々の人生に良い結果が残ると思っています。

正規留学は結果が求められる!

留学を決めたのは高2の後半ぐらい。みんな受験勉強一辺倒で「これでいいのか?」という感じがあって・・・。沖縄出身なので、東京に出るのも海外に出るのも同じようなものでしたしね。
高校3年の夏から一年間、交換留学でスウェーデンに行ったんです。これは沖縄県の派遣プログラムだったのですが、いろんな国を選べるなかで私はスウェーデンを選んだ。どうせなら何も知らないところに行こうかなと。当時はまだ英語も喋れなかったし、言葉うんぬんではなく、何もわからないところに自分の身を置いてみたいという欲求というか、よりハードルの高いところに挑戦したいというような気持ちがあったと思います。
このとき感じたのが、正規留学と交換留学との間の大きな差です。交換留学は文化を吸収したりすることが最大の目的だったりしますけど、正規留学はそんなもんじゃない。将来、どれだけ自分の求める社会的ポジションにつけるかという結果を求められると思っています。だからそれ以降は留学生の「その後」について色々調べましたね。そのときNICのインタビュー記事もたくさん読んだんですけど、みんな他と比べてすごく勉強しているイメージがありましたね。

一歩引いた姿勢のイギリス・メディアが好き

また、そのスウェーデン留学時に感じたのが、日本という国の姿がほとんど伝わっていないということでした。日本のことなんて何も知らないというか・・・。でも話すと興味を持ってくれる。それがきっかけで将来は情報を伝える仕事がしたいと思うようになったんです。
高校のときにはNHKラジオの番組制作コンテストに参加したこともありますよ。「コンビニの急成長と現代人の心の隙間」をテーマに番組を作ったのですが、アンケート調査とかインタビューなどできて面白かった。これもジャーナリズムへの興味をますます掻き立てましたね。
ジャーナリズムといえばアメリカかもしれませんが、私はアメリカには行きたくなかった。
確かに大国であるアメリカにメディアが追従していくことは否めません。でも、アメリカを報道することとアメリカの価値観を受け入れることとはまったく別の話ですよね。イギリスのメディアはアメリカの価値観を完全には取り入れず一歩引いた観点から切っているので、私はイギリスのジャーナリズムが好きなんです。情報はバランスが大切だと思います。大国の情報を報道することは大切です。でも多くのアメリカのメディアは自国の報道で精一杯で広く物事(中国やヨーロッパの情勢など)を見る姿勢にかけているように思えるんです。大国の情報を報道しつつも、その情報に振り回されないように一歩引いた報道が大切だと思います。その一歩引いて広く情報を見ようとしているイギリスのメディアの姿勢、特にBBCやガーディアンが好きです。私もそれらに倣って将来はNHKスペシャルのような硬派な番組というか、調査ジャーナリズムをやっていきたいですね。

自分を追い込む

将来はインターナショナル・ジャーナリズムで修士号まで取ろうと考えています。ここの教授は現役ジャーナリストとかも多いし、大学院の教授はそれこそ高級紙から引き抜かれてきた人もいる。授業をその道のプロから教わっているのでためになります。最近取ったのはジャーナリズムというよりはメディア・スタディーに近いクラスなんですけど、これも面白い、心理学とか社会学とかも取り入れながらメディアについて考えるんですね。ある文化とメディアがどう関連しているか。例えば、バービー人形が流行ればダイエットも流行るとか・・・。面白いですよ。
私はこれまでを振り返ってみると、見たり読んだりしたことよりも、実際に経験したことが自分の意思決定の土台になっていると思います。スウェーデン留学にしてもNHKラジオのコンテストにしても・・・。そしてこれは自分の自信にもつながっていると思います。
実はファウンデーション・コースではオールAだったのに、最初はこの大学から入学許可が下りなかったんです。超人気の大学だし、IELTS(イギリス版TOFELのような試験)の点数が足りなかったので、コンピュータで自動的にはじかれてしまっていたんだと思います。でも諦めずに、「歴史と政治の記述式の試験でAが取れるのだから英語力は問題ない」と、スタッフォードの先生と一緒に猛抗議して、許可を得ることが出来ました。本気で勉強したいからイギリスまで来ているし、お金もかかってるし、まさかドロップしては帰れないです。背水の陣というか・・・。他のアジアの留学生を見ていても改めて実感するのですが、みんなも本気で勉強している。インドやマレーシアからの留学生の多くは政府の奨学金で来ていますから、やっぱり目の色が違う。そういうのを見ると「アジアも捨てたもんじゃないな!」とかに気づくのも、こっちに来て得られたこと。そういう環境で、自分を追い込みながら勉強できるのは、恵まれていると思います。


インタビュー中、終始おだやかに語ってくれた大城さん。でもその言葉の奥底には内に秘めた熱さが感じられました。
いま日本に限らず世界中に「追い込まれている人」が多い。人間、追い込まれてしまうと本来のパワーが出せない。でも自らを「追い込んで」いる場合は違う。そこに自分の意志があるからだ。
大城さんは地元・沖縄の新聞社にリポートを送り始めることを計画中だそうです。
インタビューを終え外に出ると雪が舞っていました。


カーディフ大学 http://www.cf.ac.uk/


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