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同窓生インタビュー

<2004年秋>
吉田緑さん NIC第14期生 青森県立八戸高校出身
カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校 英語学部

日本人らしさって…
 〜「アメリカ人気質」と「日本人らしさ」の狭間で


◆人とは違うMBAへの思い

「来年春に卒業なんですけど、その後1年間は働いて、それからMBA(経営学修士号)に進もうと考えてるんです。いろんな人に話を聞くと、ビジネスを勉強するには社会人経験が少しでもあったほうがいいと言われるので…」いま、SFSUで英語学を専攻する吉田さんは、よどみのない口調でそう語る。
英語学を専攻しているのに、なぜビジネスなのか?
「もともとは先生に憧れていたんです。私はいつもいい先生に出会ってきたので…。NICでもそうです。授業はわかりやすいし、面白い。でもそれだけじゃなくて、しっかり身に付けるべきことが身に付く授業。私はそういう「教えること」を通して、人のためになりたいと昔から思っていました。でもある時期から、もっと直接的に人を助ける仕事をしたいと思うようになったんです。もっと言うと、人によって傷つけられたものを助ける仕事。でもそんな仕事をしている団体(NGOやNPO)はどこも経済的に成り立っていないのが実情ですよね。だから、その部分をビジネスの面からサポートするためにMBAに進もうと考えているんです」

◆考えたら実行に移す

そんな思いの変遷を表すように、吉田さんは渡米後、何度か専攻を変えている。最初は心理学、その後、医者・獣医への道を考えて生物学、いまは英語学、そして大学院からは経営学という風に…。
勉強面以外でも、考えるだけではなく行動にも移している。そのひとつが「うさぎのシェルター」でのボランティア活動。サンフランシスコ周辺では、捨てられたうさぎは捕まると7日間以内に殺されてしまう。だから引き取って育てるのだという。実際、吉田さんも一匹を引き取って飼っている。
「あと最近学校で募集広告を見つけたんですけど、自殺防止24時間ホットラインのボランティアもやろうと考えています。話も聞きに行ったのですが、人は気づかないうちに人を傷つけているんだということを改めて感じました。そんな傷ついた人を、たとえ電話越しであっても助けてあげたい。話を聞いてあげることで、その人が少しでも幸せになることが出来るのであれば…。聞いてあげることってたいへんだけど大事ですよね。」

◆自らの経験を生かす

「人を直接助けたい」ということがテーマだと言う吉田さん。
もちろんそれは今まで自分自身が多くの人に助けられてきたからこそ言えること。
そしてまた、人のことを考えることができるのは、自分自身がいろんな悩みを抱え、それを解決しようと前に進んでいるからに他ならない。
「留学して一番苦労したことは?」
最初、この質問に吉田さんはこう答えた。
「やっぱり英語力ですね。英語学専攻なので、ネイティブの学生と同じ条件でシェイクスピアとか学びますよね。だから本を読んだとき、ネイティブと同じくらい深く理解し考えられるような、対等のレベルまで持っていきたいんです。」
英語力はほぼすべての留学生が悩むこと。でも吉田さんの場合、そのレベルが違う。ある意味、贅沢な悩みなのかもしれない。
だからしばらくして敢えてまた同じ質問をした。すると…。
「…やっぱり人間関係ですね…。つい先月、仲のよかった人に『日本人らしくない』と言われてしまったんです。以来、『日本人らしいというのは、どういうことなのか?』ということで頭が一杯になってしまって…。外見なのか、中身なのか、考え方なのか…。私は16歳のときに1年間の交換留学をしてから、アメリカの雰囲気が好きになって、だから大学もこっちを選んだんです。今はもう自分の意見をはっきり言うことが当たり前だと思うようになっています。グループを作るのも好きではないし、何かあると仲間内で色々言う感覚にもなじめない。やっぱり私は本当にもう日本人らしくないのかと考えたりもします…。でも理解してくれる友人は何人かいるし、それで十分なんだと思います。」

◆外に出て見えてくること

よく海外に出ると日本がよく見えるようになるという。それは、人間についても同じこと。
いつも自分のことばかりを考えていたのでは、何も見えてこない。人のことを考え、話を聞き、悩みを理解しようとすること。そうすることでまた自分自身のこともよく見えてくるようになる。
吉田さんが好きな「アメリカの雰囲気」とは、「自分の意見をはっきり言える」雰囲気。でもそれに染まることで、日本人から「日本人らしくない」と言われてしまう…。
サンフランシスコの海岸から車で数分。綺麗な一軒家が立ち並ぶ住宅街の一角にいま、吉田さんは住んでいる。ルームメイトは30代のアメリカ人女性弁護士。
インタビュー当日、その場所から望めたのは、たくさんのカラフルな住宅と、その上を覆う、どんよりした雲。
「この辺は曇ってても、ダウンタウンは晴れてることが多いんですけどねー」
陽気なイメージのあるカリフォルニアでのその風景は、吉田さんが直面する人間の内面を表していたのかもしれない。

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