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同窓生インタビュー
<2004年秋>
藤田好美さん NIC第15期生 北海道立室蘭栄高校出身
ネバダ州立大学リノ校 看護学部
人生で初めて取った「F」を乗り越える
〜NICに来て何か出来る気がした。アメリカに来てもっと出来る気がした。 |
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◆先に延ばすと飛べない気がした
日本人学生劇団「Wafu」団員、インターナショナル・クラブ書記、コンピューター・ラボのヘルプデスク、…。藤田さんはとにかく様々なことにチャレンジしている。 「色んなことをしてみることで視野が広がるんです。勉強だけだと逆に勉強に集中できないですしね。」 とは言うものの、さすがにちょっと「きついかな」と感じている今日この頃。 たとえばヘルプデスクのアルバイト。週16時間の仕事中、ひっきりなしに電話がかかってくる。 「最初はただのアシスタントだったのに、1学期間頑張ったら声がかかって…。パソコンなんて触り始めてまだ2年だし、英語にも不安があったけど、『大丈夫、大丈夫』と言われて、引き受けるかどうか2週間悩んだ。でも『知らない世界に飛び込もう』と思って…。最初の頃は『なに言ってるのかわからない』とか言われて、電話を取るのがいやでいやでしょうがなかったですけどね。」 でもやめない。近い将来、アメリカ一周旅行をしたいと考えているからだ。 「エアロビのクラスも取っていたけど、それはさすがにやめました。体力を消耗するので…。でも余裕が出来たら『歌』のクラスを取ろうと考えてます。」 とにかく好奇心旺盛な藤田さんが専攻するのは看護学。最初は日本の看護学校に行ってから海外進学を考えていたが、決心をした。 「先に延ばすと飛べない気がしたんです。」
◆乗り越えなければならない壁
看護学部の当初2年間は一般教養だけで、そこで高成績をキープすることと高い英語力がないと、3年次に専攻できなくなる。なのに今学期、藤田さんは『人生で初』の『F』を取ってしまった。 「アナトミー(解剖学)のクラスです。面白いけど覚えることが多いし、授業のスピードも速い。たとえば頭蓋骨の細部の名称を50個も覚えたり…。今までは普通にいい成績が取れていたんですけど…。今までが順調すぎたのかもしれない…。」 それでも看護師になる夢があるので負けられない。 この「F」のおかげで、看護師になるという目標も再認識させられ、挽回に向けて気合を入れ直している。 「目指そうと思ったきっかけは何だったのか覚えていないですけど、知識も体力も必要で、やりがいもあるし、病気のこともわかる。あと何より、人を助ける仕事ですからね。」 看護師には知識・体力のみではなく、人への思いやりも必要。藤田さんはアメリカに来て、自分の変化に驚くという。 「いま、自分がこんなにフレンドリーになっているのが不思議なんです。NICのときは北海道から東京に出てきて寮生活をしていたんですけど、民間の学生会館だったので、寮生は他の大学の学生ばかりで時間も合わないから、友達もあまり出来なかった。ここでは寮に帰ったら、みんないる。だから安心で楽しい。」 そんな藤田さんは1ヶ月前から寮で友達になったアメリカ人3人とアパートに引っ越したばかり。新たな生活を始めている。
◆NICに来て何か出来る気がした、アメリカに来てもっと出来る気がした
アメリカで看護士資格を取っても日本で働くためには日本の国家資格を取得しなければならない。 それでも、それを補っても余りあるほど学ぶものが多いという。 「インターナショナル・クラブは留学生全体の組織なんですけど、色んなイベントをやってます。あるとき餃子を作って持っていったら、宗教上の理由で牛も豚も食べれない学生もいて…。あと中東からの友達はラマダン(断食)とかやってるし…。こういうことが普通にあるから、視野が広がりますね。」 そんな中から日本の良さも実感する。 「来る前はすごくアメリカに惹かれてました。なぜか『アメリカ一番』だと思ってましたね。日本は何となく好きじゃなかった。でも、良さがわかってきました。色んな人から『外に出れば日本のことが良くわかる』と言われて実感なかったけど、来てみてその意味がわかりましたね。」 いまはアメリカも日本も好き。 「NICに来て何か出来る気がしたし、アメリカに来てもっと出来る気がします。」
◆リノの空が好き
先を見ると遠いから、いま目の前にあることを精一杯やる。 「勉強とか、つらいけど気持ちいい。やりたいことを、やっているから。」 母からは「いつまでアメリカにいさせてあげられるかわからない。」と言われているが、バイトで家計を助けるだけでなく、奨学金も確保している。 「NICではリノ進学者向けの奨学金授賞者の4人のうちの一人にも有難くも選んでいただけましたし、今年も大学から授業料の半額分ぐらいの奨学金を貰えるようになってます。」 肩に力を入れず、自然体で生きているように見える藤田さん。 壁にぶつかったときは、リノの空を見上げるという。 「いつも晴れているリノの空がすきなんです。」 最後に感慨深けにこうつぶやいた。 「むかしNICのインタビュー集を読んだときは『みんなすごい』と感じたけど、私も今、いるんですよねー。」 今日もまたリノの空は晴れている。 |
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