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同窓生インタビュー
<2004年秋>
岩撫聡子さん NIC第15期生 東京都立明正高校出身
ネバダ州立大学ラスベガス校 ホテル経営学部
号泣した夜
〜言葉が出てこない辛さ |
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◆”I don’t know.”も出てこなかった
「こっちに来てすぐ、アドバイザーに『夜はミュージックのクラスがいいんじゃない』と勝手にクラス登録されてしまったんですね。確かにミュージックだから易しいのかと思っていたら、ロックのクラスで…。バックグラウンド知識がないから、教授が言ってるのが曲名なのか歌手名なのかもわからない。でも、やる気は見せなきゃと思って、いつも2列目の真ん中の席に座っていたんです。そしたらある日、当てられて、頭が真っ白になって、”I
don’t
know.”も出てこない…。授業がしばらく止まって、なんとか親切な友達が助けてくれましたけど、涙が出てきました。」 UNLVでホテル経営学を学ぶ岩撫さんは渡米当初の頃のことを悔しそうに思い返す。 「春休みのとき親が様子を見に来てくれたんですけど、弱気になって『もう、やめようかなー』と言ったら、『せっかくここまで応援してるんだから』と言われて…。」 ホームシックになることはなかったが、『英語で学ぶこと』にくじけそうになったという。
◆日本語だったら…
高校時代、英語は好きだったけど、あまり勉強はしていなかった。 「NICに入って、自分のレベルの低さに気づきました。でも『どうにかなる』と甘く考えてしまったんですね。そのツケがいま回って来てるんだと思います。」 ホテル経営学部には留学生が多いので少しは安心だが、一般教養のクラスにはほとんど留学生がいない。緊張のしっぱなしという。 「今はまだ聞くだけで精一杯という感じですね。アメリカ人は、『そんなことまで聞くの?』というレベルのことまで聞いている。でも質問することが大事。私はまだ受け身で、簡単な質問さえ考える余裕がない。」 だからある日、「日本語だったら、いくらでも質問できるし、ディスカッションも出来る」と思って、日本人の友達と試してみた。 「そしたら、ケンカしそうになるぐらいになったので、やめました(笑)。」
◆親の励まし
「私はお気楽だから、あまり悩まないし、悩んでもすぐに忘れる。」という岩撫さんだが、そのわりに弱気な行動も多い。 「高校時代はもう海外進学だけを考えていて、日本の学校のことはまったく調べてなかったんです。でもこっちに来て、遊ぶ時間はないし、睡眠時間は少なくなるし、英語の壁にぶつかるわで、『もう帰ろう』と思ったときに色々調べてみたんです。そしたら別に日本の学校を出ても私のやりたい仕事をやってる人はたくさんいる。そのことを親に電話したら『そんなのコネかもしれないでしょ』と軽くいなされました…(笑)。」 だから今は、自分の心にこう言い聞かせている。 「若いうちの苦労は買ってでもしろ。こんなに勉強する時期は今しかない。」 そして「今しか出来ないこと」に取り組んでいきたいという。 「そういえばこの前、メキシコへのクルーズ・ツアーに参加してきたんです。リサーチペーパーを4つ書いて3単位が取れるプログラムだったんですけど、どんな食事が出されているのかとかチケッティングの仕組みとか…。ペーパーはWebに載せるので緊張しましたけどね。」
◆将来はやっぱり…
まだ2年目に入ったところで、これからますます授業は厳しくなっていくことを自覚している岩撫さんだが、徐々にアメリカになじみつつあることも自覚している。 「こっちに来て、いろんなバックグラウンドの人と出会えるのが楽しい。それに自由な発言で成り立っている授業も楽しくなってきた。」 今の状況は、もともと海外進学する理由でもあった「接客業」の仕事への憧れのきっかけと同じという。 「高校のとき寿司屋でバイトしたことがあるんです。最初は『いらっしゃいませ』を言うのも恥ずかしかったのに、1ヶ月もするとお客さんそれぞれの反応がみんな違うのが楽しくなってきて…。」 そうなって初めて、接客の方法を工夫する余裕が出てきた。 英語も同じ。アメリカに徐々になじみ、文化の違いに興味がわく。そのとき初めて本当の英語力が身についていく。 「だから最近は、誰にでもどんどん話しかけたくなりますね。日本人を見ても話しかけたくなるけど、でも、日本人にいきなり話しかけたら変に思われるかもとか思ったりもして…。」 「いろんな国から人が来て、話せる仕事がしたい」という岩撫さん。将来についてはまだ考え中という。でも本心は決まっているように見えた。 最初に聞いたときは「将来はホテルですね。本当はグランド・ホステスなんですけど、周りから『アメリカの大学まで行ってもったいない』って言われるので…。」と答えた。 でも最後にまた聞くと、「やっぱりグランド・ホステスです!」 そうと決まれば、もう弱音は吐けない。自分の決めた道だから…。 |
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