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同窓生インタビュー

<2004年>
吉井由佳さん NIC第13期生 長野県立岡谷南高校出身
英国立キングストン大学 芸術学部 ファインアート学科

これから自分がどう変わるか。
変わった自分がつぎにどんな道を選ぶか、興味津々。


キングストン大学のナイツパークキャンパス。あちこちのルームが開放され、自作展や共同展を準備中の学生たちが思い思いに首を傾げ、腕を組み作品のディスプレイに凝っている。カフェテリアを抜けて裏のパテオにでると、テムズ河の支流につながる川面に、小さな歓声が揺れる。茂みに隠れた向こう岸は幼稚園だそうだ。そんな環境で吉井由佳さんは毎日、絵筆をとってキャンバスに向かう。

■ ■ ■ ■
「週に一度、美術史の講義がありますけど、あとは大体スタジオにこもってます。スタジオっていってもご覧のように4人で6畳くらいのブースをシェアしてるんですけど。いま制作中なのがコレですね」
描きかけの抽象画が大イーゼルに鎮座している。その絵のキャンバスはセルフメイド。木枠を組み立て、キャンバス布を留めてつくる。
「あまり得意じゃないんです、キャンバス作り。だから見かねたクラスメイトが融通してくれることもあって、
そういうときって、うれしいです」と、はにかみながら唇をかむ。

キングストン大学を選んだ理由を尋ねると、「ファンデーションのチューターが推薦してくれたんです。
キミには、“サリー”か“キングストン”が合ってそうだよって。そうしたらキングストンから先生がインタビューにいらして、そのとき、描きかけのポートフォリオを見せながらいろいろお話しして、しばらくして入学が決まったときはうれしかったです。友達も一緒に喜んでくれました」

■ ■ ■ ■
「NIC時代の仲間とのおつきあい、そうですねぇ、親しい友人が何人か一緒にイギリスに留学していて、けっこうよく会ってます。専攻はそれぞれ全然違いますけど、一緒に美術館巡をりしたりもするし。この間はテイトギャラリーに行きました。」

■ ■ ■ ■
「NICに入学した当時は、周囲にただただ圧倒されちゃってるひとりでした。私自身、先頭に立っていろいろ意見を発表するのがあんまり得意じゃなかったし、英語力も弱かったし。でも、ここでがんばんなきゃ留学して美術の勉強はできないぞ、って一生懸命手を上げて、発言するようにしてここまでたどり着きました。そういえば、NICでの生活が親元を離れてはじめての一人暮らしだったですね。それもたいへんだったなぁ、勝手がわからないで、慣れるまでは。いまはもう全然平気なんですけど」と照れくさそうにメガネに手をかける。

■ ■ ■ ■
「英語力っていえば、今週は“READING WEEK”なんです。何か1冊、本を選んで、その感想をエッセイにまとめるのが課題、3000wordsで。ちょっとたいへん!NICに入学した頃には考えられないですけどね、そんな文字数でエッセイ書くなんて。いまならなんとかなるんですよね、コレが」
屈託のない笑顔が川面に揺れた。川べりのベンチに並んで腰をおろし、秋の陽だまりのなかで由佳さんの話しは続く。インタビューの日からしばらくしてふと気付いた。対岸のすこし離れたところから見たら、このときのインタビュー風景って、なんだか、彼女がいまいちばん尊敬とシンパシーを感じるという彫刻家ジャコメッティの世界に通じるものがあるなあと。それが偶然のものなのか意図的なものだったのか、いまとなってはわからないけれど。

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「留学して変わったなあ、と思うことですか、うーん、以前は自分と意見を異にする人って、とっても苦手でした。でも最近は、世界にはいろんな人がいて、いろんな考えがあって面白いなあって思えるようになりました!そこに新しいテーマのヒントが隠されてる気もして。案外、身近なところ、何気ない風景からインスパイアされたりするものなんですよね、絵のテーマって」

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卒業後の予定について尋ねてみると、「日本に帰ってアート系の仕事につきたいなとも思うし、大学院に進んでもっともっと絵の勉強を続けてみたいとも思うし、まだ決めかねてます。これから自分がどう変わるか、変わった自分がどんな道を選ぶか、そんなこと考えるのも、ちょっと面白いんじゃないかなって思うんですけど」そう、確かに世界にはいろんな人の、いろんな考えが、孵化する明日を殻の中でひそかにずっと待っている。

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