TOP
第19期生
第18期生
第17期生
第16期生
第15期生
第14期生
第13期生
第12期生
第11期生
第10期生
第9期生
第8期生
第7期生
第6期生
第5期生
第4期生
第3期生
第2期生
第1期生
同窓生インタビュー

<2004年秋>
秋田周平さん NIC第14期生 宮城県立仙台第二高校出身
カリフォルニア大学バークレー校 映画学部

いま何を学ぶべきか
 〜大事なのは技術ではなく中身。伝えたいものがなくては何も始まらない。

◆映画学部を出てもいい映画は作れない

「もともと南カリフォルニア大学(USC)の映画学部を目指していたんですけどねー」
そう笑いながら語り始めた秋田さんは、バークレー校で映画を学ぶ傍ら、すでにフジテレビで放映中の「灯り・物語」の番組制作に携わっている。
将来は同じ宮城県出身の「くどかん」こと宮藤官九郎氏のように、企画と脚本の両方を手がける映画マンを目指すという。
映画学部の名門といえばやっぱりUSCと言われるが、秋田さんはなぜバークレーなのか?「実は短大(ディアブロバレーカレッジ)からトランスファーするときに、USCには願書を出し忘れちゃったんです…。ボランティア活動をしていて、何かと忙しくしていたので…。でも今考えると、迷いがあったんだと思います。本気だったら出し忘れるはずはないので…。」
その迷いとは?「こっちに来て沸いたんですが、映画学部で学んだからといって、いい映画は作れないんじゃないかという素朴な疑問です。ちょうどバークレーに合格して行くか行くまいかで悩んでいたとき、あるチーフ・プロデューサーの方と話す機会があったんですけど、その方が『今は新しい番組は作る気になれない。だって今の俺には伝えたいものがないからな。』と言われたんです。大事なのは技術とか理論よりも、『何を伝えたいのか?』。だからバークレーで映画を専攻しつつも、幅広い学問を学んで、自分の幅を広げようと思っています。」
確かに、人々を感動させるのは技術でも理論でもなく、作品から心に伝わってくるメッセージ。そんな作品を作るためには、自らが感動する体験を一つでも多くしなければならないし、様々な角度から人間を観察する能力、多様な価値観を認めるキャパシティー、そして幅広い教養が必要になってくる。「卒業してからその現実に気づく人が多いと思います。僕は幸い、早く気づいた。これは良かった。」

◆もともとは理系だった

では、そもそも秋田さんはなぜ映画マンを目指しているのか?
「もともと僕は理系だったんです。それで、音響とか、日本では学べないことを勉強するために海外進学を志してNICに入ったんですね。そこで3期生の依田さん(依田浩一さん:USC卒)が開催されていた「映像工房」に興味本位で入ってみたらある日、脚本の宿題が出されて…。いろいろ試行錯誤しながら仕上げていくうちに、のめりこんでいったんです。」
人が進む道を決めるきっかけというのは、ある日突然の出来事のようにやってくる。でもそれは決して偶然ではない。同じとき、同じ場所で、同じ出来事に遭遇しても、何かを感じる人と感じない人がいる。人は結局、自分の興味のあるモノや情報にしか反応しない。秋田さんが脚本作りにのめりこんでいったのも、心の中のどこかに何かがあったはず。
「そういえば、叔父がドキュメンタリーの映画監督をしてるんです。法学部出身なのに…。叔父は昔、学生運動をやっていて、世間に伝えたいこと、言いたいことがあったらしいんです。そんな話を聞いた影響があるのかもしれませんね…。」

◆日本人だから出来ること

秋田さんは映画を通じて何を世間に伝えようと考えているのか?
「まだ具体的にこれといったものはないですよ。でも叔父じゃないけど、バークレーもかつてはアメリカの学生運動の中心地だった。ここで色んな考え方やアイデアを吸収して映画製作に役立てたい。」
アメリカで映画を学ぶことの意義は?
「映画は地域によってそれぞれの特徴があると思います。ヨーロッパは芸術寄り過ぎだし、アメリカはストーリー展開がうまいけど、中身はそれほどじゃない。日本は雰囲気だけという感じ…。僕はそれらを全部融合して、新たな領域へと展開していきたい。でも、一番大事だと思うのは、伝えたいことがちゃんと伝わること。そういう意味では、アメリカのスタイルが一番いいとは思っています。あと、『日本人だから出来ること』と『アメリカにいるから、アメリカで学ぶから出来ること』も有効に活用していきたいですね。」

◆どんな人にもストーリーがある

ディアブロバレーカレッジ時代、秋田さんは脚本のクラスで出された課題で、『サムライの家系がアメリカに生き残っていた』という設定の脚本を制作したという。これは確かに『日本人だから出来ること』と『アメリカにいるから、アメリカで学ぶから出来ること』を上手く活用している。
「とにかく僕はアイデアで勝負していきたい。自分にしか書けない分野を築き上げていきたい。その脚本のクラスでは留学生は僕一人でした。たいへんでしたけど、ちゃんと『A』を取りました。英語力は足りなくても、アイデアがあれば勝負できる。バークレーでも卒業までの2年間で、ハリウッドに持っていけるぐらいの脚本を完成させますよ。」
そして最後にこう付け加えた。
「NICには個性の強い人ばかり集まってきていますよね。そして、バークレーでも、本当に色んな人がいて色んな考えをもって生きている。だから物事をよく見るようになったし、視野が広がっていくのを実感しています。自分の考えは絶対じゃない…。そして、どんな人にもストーリーがありますよね。僕はそれを映像にして伝えたい。」
自分のストーリーを語れる人は強い。しっかりと他人に語れるだけの自らの道を歩んでいるからだ。
秋田さんが歩んでいるのも、他人任せではなく、自分で作り上げるストーリー。人はみんな自分の人生の脚本家なのだから…。

>第14期生トップに戻る

Copyrights c 2003- NIC International College in Japan All Rights Reserved.