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同窓生インタビュー

<2004年秋>
鉢嶺沙幸さん NIC第15期生 沖縄県立球陽高校出身
ネバダ州立大学リノ校 国際関係学部


いやいや身についたリーダーシップ
 〜寮長としてネイティブ学生36人をケア。寮費食費が全額免除。

◆着いた初日に「寮長になるにはどうしたらいい?」


渡米してまだ1年ちょっとの鉢嶺さん。でも今年(04年)の夏からもうRA(Resident Assistant・寮長)〈注1〉として36人のケアをしている。
「うちは母子家庭であまりお金がないので母から『NIC1年間だけで、アメリカまでは行かせてあげられないかも』って言われてたんです。それでNICのカウンセラーの方に相談してみたら、『寮長になれば寮費・食費が全額免除になる』と聞いて、『もう、絶対になる』と思っていました。」
そして渡米、寮に入った初日に寮長に聞いたという。
「本当に初日でした。『どうやったらなれる?』と聞いたら、応募の仕方を教えてくれて…。そして10月から選考のための色んな訓練が始まりました。ポスターを作ったり、シミュレーションをやったり、グループ・ディスカッションをやったり…。」
もともと赤面症で人前に出ることが嫌いだった鉢嶺さんにとって、それは苦痛以外の何物でもなかった。
「カウンセラーの方からは『簡単だよ。ただ寮内でお知らせの手紙を配ったりするだけだから。』と聞いてたので、『話が違うー』っていう感じでしたね(笑)。もうイヤでイヤでしょうがなかったんですけど、とりあえず最後までは頑張ろうと…。でもグループ・ディスカッションでは発言しないと落とされるのは分かってるのに、発言できなくて…。そんなとき、あまりに発言しないから当てられたんですね。しょうがなく自分の意見を言ってみたら、みんながうなづきながら聞いてくれる。『私の意見でも聞いてくれるんだ』と嬉しくなって、それ以来は少しずつですけど積極的になれました。」
そして無事に寮長に合格。
「RD(Resident Director・私を選出してくれた人)に理由を聞いたら『控えめなところがいい』って(笑)。」
でも寮が開く前に行われた最終訓練のとき、またイヤになったという。
「何で私はこんなことやってるんだろうって…。でも段々とリーダーシップが取れるようになってきて、楽しくなってきました。」
そして、その成果は普段の授業中にも表れた。「100人もいる歴史のクラスで発言できたんです。発言した後に気付いて『あれー、私すごい』(笑)。」

◆自分を追い込む

寮長になる訓練の中で、自分でも成長していくのがわかったという鉢嶺さん。応募しなかったときのことを考えると怖いという。
「自分で変われないとき、変わらざるを得ない状況に自分を追い込むことが大事だと実感しています。今では寮長として、自分の見せ方にも気を使うようになりました。人と接するときはいつも元気よく、落ち込んでるときでも元気に笑顔で振舞う。でもそうすることで、本当に元気になるときもありますから。」
自分の成長を感じながら、周りの成長の早さにも驚く。
「アメリカ人学生って、1年生の頃はすごく幼稚に見えた。でも2年生にもなると見違えるほど変わる。授業で発言するためには、ものすごく考えないとダメだから、自然にみんな成長していくんだと思います。ボーッとしてると取り残されてしまいますね。」
またアメリカの授業スタイルにも感動する日々。
「わからないことがわかるようになるプロセスが面白い。アジア史のクラスでも、高校で少し勉強したはずなのに固有名詞しか頭にない。『こんなに面白いこと学んでたの?』っていうぐらいアメリカの教科書は面白い。高校までは時間を無駄にしてたなって思いますよ。」

◆『がーん』と『ピーン』

そんな鉢嶺さんは高校の頃まで大きな困難に直面することもなく「ぬくぬくと」育ってきたという。
「高3の夏までは日本の大学しか考えていませんでしたね。受験勉強も一生懸命やってたんですけど、ある日、色々考えているうちに、日本の大学生は遊んでばかりのイメージだし、そのまま就職したらちゃんとした大人になれないんじゃないか、自分の意見も言えない大人になってしまうんじゃないかと思って、どうしようもない不安に襲われて『がーん』としたんです。」
ちょうどその頃、専攻分野の選択の相談を担任の先生としていた鉢嶺さんは国際関係学の存在を知る。
「夏のある日の夜、ボーっと考えてたんです。そしたら海外進学という道が『ピーン』ときて、『この手があった』と…。国際関係を学ぶには国際的な環境が一番ですよね。それに私は沖縄出身なんですけど、東京に出るのもアメリカに行くのも変わらない感覚で…。モヤモヤしてたものがすべて解決した瞬間でした。」そして母親に相談する。「私が精神的に頼りすぎてることを知っていた母は『頑張りなさい』と言ってくれました。」

◆沖縄を離れて沖縄が好きになった

ずっと引っ込み思案で、人前に出るのも嫌いで、生徒会の書記も「内申書のためだけに」していたという鉢嶺さんはいま、故郷・沖縄のために働きたいという。
「離れてみて始めて分かることってありますよね。私は沖縄が好きになった。思い返してみると、中学のときにすごく慕っていた塾の先生から、『国連で沖縄のことを自慢してきた』という話を聞いて、『かっこいい』と思ったことがあるんです。私もどんな形になるか分からないけど、大好きな沖縄の文化を世界に紹介していくような仕事がしたいですね。」
今日もまた「騒いだり、お酒を飲んだりする」寮生を叱る鉢嶺さん。その調子で将来は「沖縄」を世界に物怖じせず発信していってほしい。


〈注1〉RA(Resident Assistant・寮長):寮生により良い寮生活、学校生活を送れるように手助けする仕事。主な仕事は、ゲストのcheck-in/check-out(寮内の安全確保のため)、寮内の見回り、ポスター作り、寮内でのプログラム(イベント)の企画、学校からのお知らせの手紙(普通の郵便物ではなく)の配布…など。

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