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同窓生インタビュー

<2004年秋>
落合雅子さん NIC第14期生 神奈川県私立鶴見女子高校出身
ネバダ州立大学リノ校 心理学部


自分の過去を探して…
 〜人間は悩むことで成長する。

◆最初はアメリカ人が怖かった

落合さんは、リノ校で行動心理学を学ぶ傍ら、日本人会の会長も務めている。
「小学校に折り紙を教えに行ったり、色んなイベントを開いたりして、楽しいんですよ。授業では学べないこともたくさん学べるし、日本人としてのアイデンティティーを考えるきっかけにもなりますから。」
しかし今、「日本人会が危機」なんだという。
「3年に一回の周期でやってくるんですけど、メンバー数が減ってるんです。『日本人ばかりが溜まってる』イメージがあるみたいで…。でも、おかしいですよね。アメリカにいても『日本人』なんだから、日本人としての活動をするのは普通のことなのに…。日本人会は学内外でやっと認められてきているので、なんとしても立ち直しますよ。」
NIC出身者は各地の大学の日本人会で、様々な活動をしている。それは日本人学生向けの就職セミナなどのイベントであったり、一般向けの日本紹介イベントだったりする。落合さんはそんな活動を率いる立場にあるわけだから、やはりもともと活動的だったのか?
「とんでもないですよ。私はすごいビビリ症で、最初の頃はこっちの人が怖くてしょうがなかったんです。切手を買うのも怖かったんですから…。とにかく関わるのが怖かった。でも、ウジウジしていてもしょうがないと開き直って、当たって砕けろの精神で、アメリカ人と接し始めました。それで日本人会の活動にも積極的に参加して、アメリカ人と関わらざるを得ない状況に自分を追い込んでいったんですね。そしたら次第に自信がついてきて、今では“何でも来い”です。」

◆心身症だった幼少時代

渡米後にビビリ症を克服したという落合さんは、幼少の頃には適応障害に悩んでいたという。
「保育園から小学校低学年にかけての話ですが、周囲に馴染めず神経科に通っていたんです。『自分は何でこうなんだ』と考え始めていましたね。3歳なのに人間関係に悩むって凄いですよね。でも真面目な話、ストレスで心臓がバクバクしていたのを覚えています。」
そんな心身症は「時が解決した」という落合さんは、当時の自分に何が起こっていたのか知りたくて、心理学を学んでいる。
「むかしの通院記録とかは母が無くしてしまっていたんですね。それで『じゃあ、自分で学んでみよう』と思って…。日本にいるときからユングは読んでいたんですけど、こっちに来て本格的に学ぶようになってからは、色んな学者の色んな考え方や理論があることがわかってきました。だんだんと見方も変わってきたし、曖昧だったものが具体的になってくることを実感しています。今では、心臓神経症という適応障害の一種だったのではないかと思っています、まだ定かじゃないですけれど。」
そして将来は大学院まで進んで、臨床心理学の資格を取るつもりだという。
「こっちの大学院に進むか、日本の大学院に進むかはまだ決めていません。働く場所は出身地の横浜と決めているので、どちらかというと日本の大学院に心は傾いているんですけどね。」

◆「そうだね」と言ってもらうこと、言ってあげること

日本というよりも横浜のために何かしたいという落合さん。
臨床心理士として、かつての自分が苦しんだのと同じ状況にある子供を助けたいと言う。
「自分は助けてもらった記憶がないんです。お医者さんからは注射された記憶しかないですし、セラピストやカウンセラーはいなかった。あの頃、何が必要だったのかを考えるんですけど、答えは一つで、とにかく誰かに話を聞いて欲しかったということに尽きると思うんです。聞いてくれるだけでいい。答えはいらない。私が覚えているのは、話しても相手の価値観が返ってくるだけで、受け入れてもらえなかったことだけ…。だから、そういった子の気持ちを私が受け止めてあげられたら、と思うんです。」
人は誰でも、自分の話を誰かに聞いてもらいたがっている。でも、これだけ多くの人が周りに存在しているのに、話を黙って聞いてくれる人というのは少ない。
「小学校の頃は周りの子達から孤立していた。みんなと同じ中学校に行きたくなかったから受験して、別の中学に行きました。環境が変わって、そこではじめて本当の友達ができた。傍に話を聞いてくれる人が居る安心感は、彼女達から教わりました。こっちに来てからも勉強面はアドバイザーに相談できるし、プライベートなことは友達に相談できる。友達からは『そうだねー』と言ってもらえればいいんです。それで安心する。」

◆身体は着いても、心が来ない

「でも一番良かったのはNICのときかもしれないですね。中・高は同じ女子高でずっと変化がなかった。NICでは個性が強い人がぶつかりあっていて刺激的。世界が広がりました。みんなとの関わり合いの中で新たな発見がいくつもありましたし、自分の小ささもわかりました。あの1年間で自らを見つめ直したうえでこっちに来たことは凄く重要なことだと思います。別に直接こっちに来ることも出来ますけど、物理的に身体が着いても、心がついて来ないんじゃ、しょうがないですからね。」
人間は考える葦だと言った人がいる。でも実際は、考えるというより悩むことで人は成長する。そして悩みを乗り越え、前に進み行動していくことで、その成長を自分のものにしていく。落合さんが体現しているのは、そんな人間の成長の過程に他ならない。

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