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同窓生インタビュー

<2004年>
カービー恵子 KIRBY KEIKO(旧姓:鶴見)さん NIC第7期生 埼玉県 埼玉県立川越西高校出身
ネバダ州立大学リノ校人類学部卒業 
ロングビーチ・ポリテクニック・ハイスクール日本語教員


先生になりたい人には、
例えそれが外国人でも、アメリカは扉を開けてくれる。

ロサンゼルスのダウンタウンから1時間ほど南下すると太陽と潮風の街ロングビーチ。マリーナに整然と係留されたヨットやクルーザーが壮麗な列をつくる。クイーンメリー号、カタリナ島という観光スポットでもおなじみの街かもしれない。カービー恵子さんが日本語を教えるハイスクールは、マリーナからクルマで10分ほどのロングビーチ市内に位置していた。市内でも指折りの進学校。UCLAやバークレー、ハーバードという名門校へ毎年多くの学生が巣立っていくという。

■ ■ ■ ■
「この日本語クラスは、学年で二番目のランクの学力をもつ生徒たちが学習するコースのひとつなんです。ビジネス系の科目を履修するクラスでは、日本語の授業をとるように指導されるんですね。日本はアメリカにとって重要なビジネスパートナーということで。でも最初は半ば強制に近い形で日本語を勉強することになった生徒が、いつのまにかその言葉の面白さに目覚めて、日本語を含めた日本の文化や歴史、いろいろなことにスポンテイニアスに興味をもって調べるようになる。私に質問してくる。ああ、日本語のクラスを担当してよかったなあ、と思いますねそんなときに」

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みっちり1時間半の授業を終えた後の疲れをよそに、恵子先生は明るく言葉を選んで紡ぎだす。次の講義がはじまるまでの生徒たちの自習時間を利用しての取材。インタビューの最中も何人かの生徒が質問にくる。生徒たちからかなりの人望を集め慕われている恵子先生。
「いまの十代の子って、集中力が持続しないでしょ。
だから、ひとつのアクティビティの限度が15分程度。いろいろなプログラムを用意するよう工夫してます。そうしないと飽きちゃうの」
確かに。取材前に拝見した授業では、「食堂で親子丼のオーダーをどうするか」「彼女をデートに誘う電話のかけ方」「漢字のヘンとツクリ」「なぞなぞ問答」次から次にテーマを変えて日本語を教えている。生徒を飽きさせない工夫が随所に凝らされている。

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「何か新しいことを試したい」その気持ちが大きな原動力となって、これまでの彼女の生き方を牽引してきた。「No Try, No Gain」を自ら実践する女性。
「試行人生の端緒がNICへの入学でしょうね。そしてリノ進学。大学では人類学を専攻しました。でもビジネスにも興味があったんです。だから実際に試してみたかった。企業の仕事が自分の肌に合うものなのかどうか。それで就職は日本ハムのアメリカ法人にしたんです。そこで日本向けの輸出業務のビジネスに携わりました。1年ほど務めた頃、ちょっと合わないかなという気持ちと、社内結婚をすることになった事情も手伝って結局退社することにしたんです。2年前でしたね」

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「その頃、自分の中で『人に何か教える仕事をしたい』という気持ちが膨らんで、ロングビーチ大学の教育の講義を受講するようになりました。先生という職業への興味はずっとありましたし。結婚生活と大学生活両立へのトライですね」恵子さんの頬が緩んだ。
「1年間、大学で教育方法の修練を重ねてから、次にロングビーチ市の広報で高校の教師の空きを探して、応募して、教育委員の方々と面接をして、この高校で教えることになりました。日本とちがってアメリカは、大学を卒業してからでも最低1年間の受講で、教師の資格が取れるんです。いい制度ですよね、こういうのは、日本にも導入されるといいのにと思います」

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日本語の先生になってからも、彼女の新しい試みはまだまだ続く。昨年の夏には、日本の高校生を自分の教え子たちの家庭にホームステイに招くボランティア作戦を敢行。「やってよかったな、と思いました。実際に日本の高校生とコミュニケーションしたことで、日本語への興味のもち方に加速がついたんです。とっても積極的に授業に取り組むようになりました。俗に言う草の根交流へのトライですね」茶目っ気たっぷりに両手を広げておどけたあとで、こう締めた。

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「ラクじゃないけど、毎日にハリがあって好きです。充実してます。こんどはアメリカから日本へのホームステイも決まったし。(笑) 試行の無いところに充足感なし。挑戦なき者に勝利の美酒が振舞われることはない。そう実感します、本当に」

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