Interview

堀田 智子

#4堀田 智子さん

株式会社結心 代表

  • イギリス国立ヨーク大学 経営学部 IT & 言語学科卒業University of York - BSc in Management, IT and Languages

NIC14期生

奈良県立平城高校出身

堀田 智子さんを
特別にしている
ことは?

自分を生きること。
“Live Yourself = Be Special !”

心を結ぶ

2015年に結心を設立し、教育事業を立ち上げました。現在は、企業や個人の方々に向けてチームビルディングスキルやコミュニケーションスキルなどの人財教育を行なっています。

会社名でもある”結”とは昔から日本にある考えで、茅葺の屋根を取り替える際にその集落の住民総出で協力し合い屋根を完成させる相互扶助の精神のことを言います。この助け合って生きる価値観でありがとうが心の繋がりを大切に、という思いで私の会社を”結心(ゆい)”と名付けました。

堀田 智子さん
© Tomoko Hotta 2017

花柳界に入門!?

起業や経営には学生の頃から興味がありました。ヨーク大学で経営学を学び卒業した後はコンサルティング会社に就職しましたが、将来は独立したいと考えていました。コンサルティング会社で働いた後転職をする際、女性が活躍し、日本の伝統についてさらに学べ、英語や海外での体験が活かせる環境を探していました。そんな中、いつも着物で立居振舞が美しく、さりげなく周りの方への気遣いをされる素敵な女性に出会いました。その方と話している時に私が先にあげた要素のある仕事がしたいと話すと「あら、それ全部できる仕事があるからぜひ手伝って。」と声をかけて頂きました。なんとその方が花柳界の置屋のおかあさんで、現役の芸妓さんでもありました。学生の頃京都の芸妓さんのドキュメンタリーを見て芸妓さんの仕事を尊敬していた私は、「人生で芸妓の仕事に誘われることなんて今しかない!すごいチャンスだ!」とワクワクし、花柳界に入りました。

花柳界では英語が話せる芸妓として、世界各国からのお客様をはじめ2万5千人以上の方をおもてなしし、本当にたくさんのことを学ばせていただきました。また、芸妓のお仕事を通して日本のしきたりや礼儀、在り方を大事にする和の精神も学ばせて頂きました。お稽古の際の師匠へのご挨拶、お月謝の渡し方、節句ごとの行事やお世話になっている方へのご挨拶等、日本文化の丁寧な暮らしぶりとその背景にある意味に日常的に触れることができました。留学をきっかけに日本のすばらしさをしり、日本は大好きでしたが、芸妓の仕事を通じて日本の伝統と和の心に触れ、毎日もっと日本が好きになりました。

料亭でお客様をおもてなしする時は、色んな置屋さんから芸妓さんが集まって接客するので毎回違うメンバーと仕事をします。顔や名前は知っていますが深くは知らない方々ともお座敷でチームになり、お客様に喜んで頂くために最高のパフォーマンスを目指します。お座敷にもよりますが、お客様との会話を円滑に進める人、場を盛り上げる人、伝統芸能について説明する人、細かな気配りで心地よい場を作るなど、一つのお座敷の中でたくさんの役が求められます。自分自自身の役割をその場で阿吽の呼吸で感じて対応しなければならないので、芸妓の仕事を通して、コミュニケーション、チームワーク、柔軟な対応力等、多くの力を磨くことができました。

堀田 智子さん
向島の町に外人の観光客の方が来るたびに、智子さんが全て接客していた。© Tomoko Hotta 2017

飛べない私

高校時代は、とにかく早く社会人になって働いてみたいと思っていました。父が海外に出張することが多く、お土産や海外での話に触れることが多かったため、小さい頃から海外を身近に感じていました。中学生の時に初めての海外旅行でペルーに行き、マチュピチュを見た時にとても感動して、”地球に生まれたからには、世界を全部見たい!”とすごくワクワクしたことを覚えています。その体験以来、より強く海外に興味を持つようになりました。その後、高校卒業後の進路を考えている時に、日本の大学に進学している複数の先輩に大学での生活を聞くと、「大学ではほとんどバイトと遊びだよ!」言う声が多く、”4年間大学で、遊ぶのは嫌だなぁ。”と感じていました。

その頃自分自身に対しても自分の可能性はもっとあるのに今の自分は力を発揮できておらず、”私はせっかく背中に羽があるのに、羽根を使わず足で歩いている。”と感じていました。”本当は私飛べるのにな。”って。そんな時たまたまNICの存在を知り「海外の大学に行きたい!」と思いました。しかもNICのパンフレットに書いてあった”NICはみんなの滑走路になりたい”という文字が私の目に飛び込んできて、”ここだ!”と直感的に思いました。最初は、両親も”日本の短大に進学したらいいじゃない!”と反対していましたが、NICの説明会に母を連れて行った後は、賛成してくれ、父も説得するうちに了承してくれ、NIC進学を決めました。

堀田 智子さん
© Tomoko Hotta 2017

イギリス国立ヨーク大学に進学

NIC時代は夢を持ったたくさんの仲間と出会い、全力で学び、とても楽しかった思い出でいっぱいです。NIC終了後の将来の進学先としては、専門的に学びたいことを勉強でき、ヨーロッパの色んな国に旅行しやすいイギリスに進学を決めました。

ヨーク大学では、経営学を専攻しました。私の経営学のプログラムでは、第二言語とITのクラス履修も必須でした。勉強以外にも大学の留学生会の役員として留学生に向けての旅行やイベントを企画・運営していました。一番思い出に残っているのは、毎年開催していたFiestaという大きなイベントで、留学生のみんなが母国の食べ物をブースに出してお互いの文化について披露し合う異文化交流イベントです。

英語で大学中のいろんな人を巻き込むこの企画・運営は大変なこともたくさんありましたがとても楽しく、国も文化も宗教も背景も違う世界から来た人たちが笑顔で互いの文化を楽しんでいる様子を見て、とても嬉しかったです。この経験は今の仕事にも大きく役立っています。

堀田 智子さん
フードフェスティバルでの写真。留学生会の国際交流体験が今の仕事に結びついている。© Tomoko Hotta 2017

自分を生きる人を増やす

留学生活、ビジネスコンサルティング、花柳界で学んだことを生かして、今は企業研修を中心に活動してます。今の日本は自己肯定感が低い人が多く、人からどう見られるかを気にしたり、自分は出来ないと思っていて、”本来持つ力を存分に発揮して、幸せに活躍している人”が少ないと感じています。米ギャラップ社のState of The Global Workplace(世界の職場環境の状況)というレポートによると、日本は『熱意あふれる社員』の割合が6%と、139位中132位で先進国で最下位なんです。しかし本来の日本は、八百万の神を敬う心から見られるように、多様な人や物が多様なまま存在し、和することができる、精神的にも物質的にもとても豊かな国です。

私は仕事を通じて”本来持つ力を存分に発揮して、幸せに活躍する人”を増やします。企業研修を受けてくださる参加者の方々が存分に力を発揮して幸せに活躍して、「今日も仕事楽しかったー!」と満面の笑顔で家に帰り、それを見た子供が早く大人になりたいとワクワクするイメージです。そんな風に活躍する人が増えた結果、人にどう思われるかを気にして不安と恐れの思考で生きるのではなく、自分を信頼して”自分を生きる”仲間とともに、愛と調和を軸にした持続可能な社会を創っていきたいと思っています。志の実現に向けて、毎日楽しみながら進みます。

堀田 智子さん
脳科学に基づく、ビジネススキル講座なども行なっている。© Tomoko Hotta 2017