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#6森本 祈さん

イギリス国立サウスウェールズ大学

芸術学部クリエイティブセラピー学科

University of South Wales
BA Creative and Therapeutic Arts
東京都・和光高校出身
NIC東京校 第27期生

MorimotoInori

Inoriさんの原動力は?

「日本人の心の乾き」をうるおしたい。

まだ、アートセラピーが普及していない日本に
アートを通して人や社会の心の闇を照らしたいです。

全英の学位で2校しかない、アートセラピー専攻

NIC在学中は、美術を専攻しようと思っていましたが、渡英する直前になって、アートセラピーを勉強したいと思うようになりました。きっかけとしては、私の上の妹が生まれつき自閉症スペクトラムで、末の妹が中学生の時に精神疾患になったことでした。こういった2人の妹を傍で見ているうちに、自分が創った作品で何か社会に貢献できないだろうかと考えるようになりました。また、高校生の時に福祉施設でアルバイトをしていた時からアートセラピーの存在を知っていて、興味をずっと持っていました。アートセラピーを勉強できる大学は、世界的にも希少でイギリスではダービー大学と私が通うサウスウェールズ大学の2校だけです。日本では、まだ無いのが現実です。

大学では、幅広い面でアートを楽しんで結果的に治療になっている療法、人を癒す、病気を治すためでなく参加型の芸術作成の仕方を学んでいます。例えば、最近では目も耳も聞こえない”デフブラインド”と言われる人々が楽しめる絵画作品を作る課題を考えたり、前学期では難民の女性に向けてスーツケースを使った作品をグループとして1つ発表、また個人としても1つ作品を発表する課題がありました。課題の設定としては、イギリス在住のシリア難民の女性で、彼女は祖国シリアの食べ物がとても恋しい状態。架空のその女性が故郷を思い出して楽しめるような、幸せになる作品を創ることが私達の課題でした。スーツケースの中に、カレーのスパイスやドライフルーツで飾りをつけたり色を塗ったりして五感を使うための工夫を凝らしました。最終的に、教授にとても褒めてもらえたので、とても大変でしたが良い思い出です。

好きなアーティストは、フランス人印象派のÉdouard Manetと中国人現代美術家のAi Weiweiです。二人の共通点は、ただ綺麗な作品というよりリアリスティックで社会に対する皮肉を込めた作品が多いことだと思います。世界中の情勢に変化が起きている今だからこそ、ただメデイアや社会の情報を鵜呑みにするのではなく、彼らみたいに真実性を求めた作品をいつか創れればと思います。

私は中学生の時にアメリカに短期留学して、アメリカの自由な文化にカルチャーショックを受けました。自分の知らない世界を体感して、いつかまた留学したいという気持ちがさらに湧いてきたんです。高校を入学してすぐに、大学の進路を考えていましたが、”大学では美術を専攻しよう!”と決めていました。最初は、日本の美術大学受験を考えていましたが、アメリカに行った時から留学したいという夢があったので、正規留学をして海外で美術を勉強する道を考えていました。その時に、NICを見つけて海外大学進学の第一ステップとしてNIC入学を決めました。

読んだ内容を絵に描いてまとめる?

NICに入学して、スピーキングとリスニングは得意でしたが、リーディングがなかなかうまく上達できませんでした。課題を読んでも、理解するまでに時間がかかり理解できない時も多々ありました。そんな時、NICの仲間で同じ悩みを抱えていた仲間から”祈はアーティストだから、読んだ内容を絵に描いてまとめてみたら”とアドバイスを受けたんです。それ以来、自分がビジュアルから頭に情報を入れることが得意だと気づきました。学習の仕方は、人によって異なりますが、自分にとって一番の学習法を得たことはとても大きいと思います。

私の家族はクリスチャンなのですが、高校時代まで自分がクリスチャンであることを誰にも打ち明けることはできませんでした。しかし、NICに入学して自分がクリスチャンであることをオープンに打ち明けられるようになりました。日本人でありながら、あまり日本の文化に触れずに育ったので、留学前と言うこともあり日本人としての自分のアイデンティティーに悩むこともありました。NICの勉強も大変でしたが、勉強以外にも家庭の中で色々と問題があったりと忍耐力というかメンタル的な力が養われた1年でした。

NIC在学中に茶道を学ぶInoriさん

『留学』が、日本のために今できること

私の将来の夢は今学んでいるアートを使ってハンデのある方、私生活の中で何か困難を抱えている方たちの自立や成長を助ける仕事をすることです。アートというのは幅広く、そして奥が深いものだと思います。色んな形のアートを自分で探して見つけていき、それを人に提供していくのが私の役割なのではないかなと思います。また、アーティストに近い側面で言えばメディアの代わりとなり私自身の作品を通して今起きている社会問題をアートで伝えていく、作家にもなることが留学して世界情勢を色々知り、事実を人に伝えることが私にできることです。

日本には、毎日疲れた顔をして、生きる意味を見出せない、働くにも学校に行くにも家庭を持つにも目的のない人がどれだけいるのでしょうか。年々自殺率は上がり、その年代も少しずつ低くなっているのが現状です。彼らはなんのためにこの日本社会を生きているのでしょうか。日本という独特な文化と伝統を持つこの国の人々がどうしてこんなにハングリー精神もなく、特に信仰するものもなく生きていけるのだろうか。このような日本人に対する沢山のクエスチョンが私のアートセラピーをイギリスで学ぶ原動力になっているのだと思います。日本のために私が今できること、それが「留学すること」なのです。

Inoriさんの作品

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