アメリカ留学の体験談 2014年

NICを目指す皆さんへ/ハワイ大学マノア校

PROFILE

岡田 光晴さん Mitsuharu Vince Okada

University of Hawai‘i - Mānoa ハワイ大学マノア校
ハワイ州カピオラニコミュニティカレッジ勤務
インターナショナルプログラムコーディネーター
ハワイ大学マノア校大学院講師
ニュージャージー州モントクレア州立大学レクリエーション学部卒業
南カリフォルニア大学国際公共政策大学院 修士課程卒業
国立イーストウェストセンター アジア太平洋リーダーシップ元研究員
ブラウン大学ソーシャルチェンジプログラム元研究員
ハワイ大学マノア校社会福祉学部 博士課程卒業
Montclair State University BS in Recreation Studies
University of Southern California MPPM in International Public Policy & Management
East-West Center Asia Pacific Leadership Program Fellow
Brown University Social Change Program Fellow
University of Hawaiʻi-Mānoa Ph.D in Social Welfare

明治大学附属中野八王子高校 NIC第7期生

自信がついた時の顔

現在私は、ハワイにある州立のカピオラニコミュニティカレッジのHonda International Centerで国際プログラムのコーディネーターとして仕事をしながら、ハワイ大学マノア校大学院で講師として教えています。

自分もそうでしたが、できなかった学生が少しでも自信がついたときの顔を見るのがとてもうれしくて、今の仕事にやりがいを感じています。

きっかけ

私がNICに入学したのは、もう20年も前のことですが(笑)、もともとは、日本は離れたい一心で留学を志しました。NIC修了後はカリフォルニア州のサンタモニカカレッジに進学し、テニスチームに入りたかったのですが、ちょうど前年に起きたカリフォルニアの大地震の影響で、キャンパスのテニスコートには仮設校舎が建てられていて練習できる環境がなかったんです。そこで、他の大学へ編入しようと、テニス部のセレクションのテストを受けてニュージャージー州の大学へ編入しました。大学ではレクリエーションを専攻しました。ウォルトディズニーのカレッジプログラムに参加しインターンを経験したり、それはそれは楽しい大学生活でした。

大学卒業後は、フロリダ州タンパにある、松岡修造さんも在籍していたことで有名なテニスアカデミーでキッズのコーチを1年ほどやっていました。土地柄完全な白人社会で、自分の考え方も白人化していきました。そしてある日ショッピングモールでふと鏡に映った自分を見るとそこにアジア人がいるではありませんか(笑)。自分がアジア人であるということを鏡をみて思い出したんですね。それがきっかけで、転職を考え、ロサンゼルスの日系企業に転職をしました。

その時期に9.11が起こりました。人のこと、世界のことをもっと勉強したいという願望が出てきました。といっても大学の成績もそこそこだったので、実際に面接もしてくれて、成績だけでなく、多面的に審査をしてくれる私立の大学に出願しました。そして、南カリフォルニア大学の大学院で国際公共政策を学ぶことになりました。南カリフォルニア大学はとても留学生が多く世界中から優秀な学生が集まる、とてもいい環境の大学でした。

多文化の壁

2006年に南カリフォルニア大学を卒業する際に教授から、オバマ大統領の両親も所属していたハワイの国立イーストウェストセンターのアジア太平洋リーダーシッププログラムを紹介されました。

世界22か国から45人が集まり、アジア太平洋地域の地域活動のリーダーになるためのプログラムでした。その後ロサンゼルスに戻り、高齢者虐待防止の教育の仕事をしていたのですが、仕事をしていても理論だけでは解決できない、多文化の壁のようなものにぶち当たりました。アメリカは人種のるつぼと言われますが、文化の数だけ価値観も違います。

そこでより深くもう一度勉強したいと思い、ハワイ大学マノア校大学院博士課程に進学しました。博士課程は授業料は免除、プラス給与をもらいながら勉強しました。 博士論文のテーマは、「日本の先住民族・アイヌ政策と人々の声」についてでした。アイヌ政策やアイヌの人たちの声については、研究はあまりされておらず、データもほとんどないのが現状です。

この研究を通じて、同じく先住民族であるハワイアンのことも学ぶ機会も増えました。ハワイでアイヌアート展を開き、多くのアイヌのアーティストやミュージシャンをハワイに招待することも出来ました。

先代への感謝

ハワイは、沖縄とも強いつながりがあります。琉球王国から続く歴史をもつ沖縄からも多く移民を受け入れていました。ハワイに来て驚いたのは、沖縄から来た人たちは、I am Japanese とは言わず、I am Okinawan と言う人が多いんです。自分のルーツを大切にするということをハワイに来て更に学んだと思います。
ハワイにいる人は5つ、6つの血が混じっているということも珍しいことではありません。そしてそのルーツに誇りを持っている人が多く、またお互いを尊敬しています。

私が今住んでいるマノアバレーには、3世、4世の日系人がたくさん住んでいます。日本に行ったこともなく、日本語もカタコトの人たちですが、漬物をつけてご近所さんとわけあったり、夏にはBon Danceといってハワイのあちこちで盆踊り大会が行われ、日本の文化を大切にしています。

ハワイにいる日系人の人から、日本のよさと、日本人であることの誇りとすばらしさを教えてもらっているように思えます。それがいかに大切かを感じることができます。

よく思うのが、今自分たちがこうやってハワイやアメリカに住むことができるのも、最初に移民した人たちの苦労があるからだと思います。アメリカ人に受け入れてもらうために必死で勉強し、働いたからこそ、私たちがこうやって受け入れてもらえますし、先代の人たちへの感謝は、絶対に忘れてはいけないことだと思います。

皆さんへのメッセージ

今私が大学院生に教えていることは、社会における人間の行動や物事の考えです。世の中にはクリティカル・シンキングだけでは解決できないことがたくさんあります。クリティカル・シンキングを超えるものを培う必要があります。そのためには積極的に現場に出て、自分の目で見て感じることが大切です。そういう意味で留学というのは大きな意義がありますし、そういったスキルを培って行くいいステップだと思います。

私は日本にいるときは、日本があまり好きでなく、飛び出るような気持ちでアメリカに留学しました。それでもたくさんのことを経験出来て、すべての成功と失敗が今につながっていると思います。

皆さんへのメッセージは、ですから、今自分に自信がなくても心配ありません。自分で外に出て行こう、新しいものに挑戦しようという気さえあれば、これからいくらでも成長できます。ハワイにいらっしゃる方がいましたらぜひ私に声をかけてください!皆さんが知らない、本当のハワイのいいところ教えますよ!

ハワイ大学マノア校 ハワイ大学マノア校 University of Hawai‘i at Mānoa

1907年に合衆国政府の助成で設立された総合大学。Manoa Valleyの麓に320エーカーの広大なキャンパスに約15000人の学生が学ぶ。全米大学ランキングは168位(National Universityのカテゴリー)。海洋科学・地球科学工学部、アジア太平洋学部など全米屈指の研究・教育を誇る。さらに教育学部、法学部、経営学部、医学部など大学院教育も全米トップランク。マノア校の卒業生としては、海洋学者ロバート・バラード氏、前シティバンク銀行グループチェアマン・理チャード・パーソン氏、バラック・オバマアメリカ合衆国大統領の両親であるバラック・オバマ・シニア氏とアン・ダンハム女史など。

大学ウェブサイト: manoa.hawaii.edu

所在地: 2500 Campus Rd, Honolulu, HI 96822