先輩からのメッセージ

「調べる・考える・休む・人と話す」のサイクルで 自分のやりたいことを見つけ出そう

PROFILE

野田佳宏さん

NIC 第11期生 私立滝高等学校出身
カリフォルニア大学ロサンゼルス校工学・応用科学部航空宇宙工学科4年

高校3年で将来やりたいことが決められなかった。

進学校だったので勉強は大変でした。でも僕にとって何より大変だったのは、その勉強に意味を見出すこと。見つけることができない苛立ちと虚無感のはけ口に、音楽活動をし、何とかバランスを取っていたところがありましたね。でも英語だけは別。世界中に人と話をしたいという意思がはっきりしていたので市の英会話教室に通ったりして、勉強していたんです。

留学は、高校2年の春休みのホームステイをきっかけに興味を持っていたものの、どうしてよいかわからず、流されるまま受験勉強をしていました。だけど3年生になっていざ進路決定をする時期になっても、自分が何をしたいのかハッキリしない。このころの僕には、全てがよくも見え、つまらなくも見えていたんですね。そんな悩みを抱えていたとき、「アメリカの短大で四年制大学編入課程を踏めば、もう少し何かわかるかもしれない」との思いと、「日本と違う世界を見てみたい」という気持ちがふつふつと湧いてきて、それで3年の秋に、両親に留学の希望を伝えました。

エッセイを書くことで自分の考えを再確認できた。

NICでの1年間は、自分のことや将来について、より考えることのできた期間でしたね。ライティングの授業では、与えられたテーマについてエッセイやレポートを書いたんですが、これは英語力をつけるだけではなく、自分を見つめなおすいい機会になりました。というのも、自分の意見や気持ちを表現するのは、「普段何を考え、どう感じているか」を問われているようなもの。エッセイを書きながら、自分を再確認できましたね。また高校時代、国際関係学、環境学、航空宇宙工学の3つの進路で迷っていたのですが、NICで学んでいるうちに、実際に大学でそれぞれの授業を取ってみないと決められない、という結論に至りました。英語で受ける授業は「日本語だったらどれだけ簡単か」と思っていましたが、同じ志を持った友人が多かったのは、いつも励みでしたね。

飛行機、衛星、ロケットなどの設計・デザインを学んでいます。

現在UCLAの4年生で、航空宇宙工学を学んでいます。前学期までに熱力、液体力学、ジェットエンジンの仕組みなど基礎的なことをほぼ学び終わり、今学期は飛行機や衛星のデザインを学んでいます。華やかな外側のデザインだけではなくて、空気の摩擦や機体のバランスなどを計算に入れるので、想像以上に大変ですね。あと、学内で「AIAA(アメリカ航空宇宙協会)」という学生クラブに入っていて、これまでに無人小型飛行機やハイブリッドロケットの制作に携わってきました。活動は週に1~2回で、様々な国のエンジニアを目指す学生たちと試行錯誤しながら作業を進めています。

専攻を決めるのに悩んだ時間はとても重要だった。

アメリカに来て前向きになれたような気がします。身の回りから自分の将来まですべて自分で考えなければならない。そういう状況の中で、独立心と自分の行動に対する責任感が養われたように思います。苛立ちを感じるときはまだありますが、さすがに虚無感はないですね。日本にいたときはいろいろと迷いがありましたが、アメリカで暮らし様々な人々と話し、実際に興味のあるクラスを取るうちに大学で専攻すべき学部も見えました。決めるのにはとても時間がかかりましたが、この時間はとても貴重でした。この過程を経ていなかったら、今自分はいったい何をして、何を目指していたのか想像もつきません。

宇宙開発・宇宙旅行に関する仕事に携わりたい。

将来はアメリカで航空宇宙関係の仕事に就くのが希望。ここロサンゼルスは宇宙旅行の話題の中心地であり旅行希望者も多いので、宇宙旅行に関する仕事も視野に入れています。以前、一般人ではじめて宇宙旅行をしたデニス・チトー氏の講演で、宇宙から写した地球の映像を見ましたが、とても綺麗でした。こんな景色を見て多くの人が「地球は一つ、人類も一つ」と再認識すれば、きっと地球上のさまざまな問題の解決のヒントになるんじゃないかと思いましたね。宇宙旅行はエンターテインメントとしても最高級のものに成り得ますから、多くの人を宇宙に連れて行ける仕事に携わるのもいいな、と考えている最中なんです。

将来について悩んでいる方へ。

じっくり自分の将来について考えてください。また将来やりたいことが決まってない人は、なるべく多くの可能性が残るような決断をしてください。臆せず思い込まずいろいろなことにチャレンジして、同年代以外の人にも話を聞いたりして、自分自身と社会への理解を深めてください。「調べる・考える・休む・人と話す」のサイクルを繰り返し、いつも同じ結論にたどりつけば、それがあなたの夢、もしくはそのとき一番興味のあることだと思います。その夢への道を考えるときも、このサイクルを利用して方向修正しながら進んでいってください。