先輩からのメッセージ

飛び立つ飛行機を見て想う日本をもっと世界にPRしたいと

PROFILE

根本結佳子さん

NIC 第13期生 私立西武文理高校出身
ロンドン大学クィーンメアリー校 歴史学部

将来につながるアルバイト

「月に数回は行ってたんですよ。別に用はなかったんですけど、落ち着く場所なので。」
異国の地・ロンドンで根本さんの心を落ち着かせる場所とは、イギリスの空の玄関口・ヒースロー空港。ただ飛行機を見ているだけで、もやもやしたものもスッと晴れるという。
「でも最近は週に3~4回は行ってます。さすがに用事があってのことですけど(笑)。日系の旅行代理店でアルバイトをしていて、日本人観光客の方々の送迎をしてるんですよ。

初めて海外に来られる方や、税関で妙に手間取って遅れて出てこられる方などいて結構大変ですけど、卒業してもこういう旅行関係の仕事は続けたいですね。」
アメリカと違って、イギリスでは学生ビザでもキャンパス外でのアルバイトが許される。だから多くの学生が将来を見据えて、様々なアルバイトをしている。
「私は旅行関連といっても、外国人を日本に連れて行く仕事がしたいんです。ロンドンにもたくさんの日系旅行代理店はありますけど、ほぼ全部が在英日本人を相手にしているだけ。もっと外国人向けに日本をPRして、どんどんイギリス人観光客を連れて行けば日本経済の活性化にもなるのに・・・。」
そう話す根本さんだが専攻は観光学などではなく歴史学と政治学。なぜか?

大学では「興味のあるもの」を学ぶ

「高校の頃から歴史が好きだったんです。特に興味があるのは第二次世界大戦の時代なので、そこを中心に学んでいますよ。あまり高校の授業では触れない部分ですけど、みんなナチスは凄かったぐらいは知っている。でも『どう凄かったのか?』を深く学んでいる人は少ない。ヒットラーはどうやって国民を扇動したのか?とか、学んでいて飽きないですね。」
授業の前には推薦図書リストが配られ、その中から5冊を選んで読み、クラスはディスカッション中心で進む。プレゼンは一学期間に2~3回ある。
「膨大なリーディングは不可欠。プレゼンも終わった後に質問攻めにされるとキツイ。でも普段の授業はどちらかというと静かで、発言しなきゃというプレッシャーはないですね。」
もともと根本さんがイギリスを選んだのも、この点が大きかったという。
「アメリカは陽気でいつもキャーキャーやってるイメージ。私は陽気じゃないし、そんな雰囲気がプレッシャーになってしまいそうだったので・・・。」

泣きそうになった教授の言葉

ロンドンでの生活にもプレッシャーはまったく感じることがない。
「ファンデーションコースは田舎のカンタベリーだったんですけど、外国人はほとんどいないこともあってジャパニーズ・ナイトというイベントで日本食を作ったり日本に関するスピーチをしたりすると地元の人はみんな喜んだ。ロンドンではそういう感じはなくて、道を歩いてても自分が外国人という気がしないんですよ。なじみやすい街なんです。」
それでも自分が日本から来た留学生ということに変わりはない。
ある日の授業中、根本さんガプレゼンテーションを終えた後、教授がこう言った。
「見てみろ、ユカコを!遠く日本から来て、外国語の環境のなかで頑張っている。君らも見習え?」
そんな教授の言葉に「もう感動で、泣きそうになった(笑)」。

観光客誘致で日本経済活性化!

これまで15カ国を旅行したと言う根本さん。
親からは「帰ってきて就職して」と言われているが、卒業後もしばらくは残って、旅行関連の仕事を続けたいという。
「日本でも外国人観光客誘致キャンペーンとかやってますけど、国内でやったってしょうがない。どんどん外国を回って、日本のよさをPRして歩くこと。私はそんな仕事がしたいんです。観光客が経済に与える影響って大きいと思うんですよ。ロンドンのレストランだって、観光客で成り立っているところも多い。海外から日本にお金を入れるには、観光客誘致の果たす役割は大きいですよ。」
そしてそれは経済効果にとどまらず日本人の意識変革にもつながるはず。
優秀な外国人が周りに増えれば、こんな光景もめずらしくなくなるかもしれない。
「OOを見ろ!遠い国から日本に来て頑張っている。君らも見習え!」
「外国人よ、日本に来い!」とは簡単には出来ない。地道にアピールしていくことが大切。
「卒業後も残るのは、親には申し訳ないですけどね。」
複雑な表情ながらも笑顔でそう話す根本さんは、今日もヒースロー空港のどこかにいる・・・かも。