第29期生メッセージ集【東京校編】

新宿五丁目、または最後の砦

新宿五丁目、または最後の砦

僕の人生の中でこの一年はどんな意味を持つのだろう。この学校に来て自分が変わったとは思わないし、相も変わらずこんなひねくれた文章が頭の底から湧き上がってくる。この学校のセールストークをしようとはこれっぽっちも思わない。もしも知り合いが進路に悩んでいてもこの学校を勧めることはないだろう。しかし、その人が一見実現不可能な夢を持っているとするならば、僕はこの学校を紹介するかもしれない。なぜならその夢は海外では花を開かせることができるかもしれないし、この学校はその経路の一つになり得るからだ。少なくともこの学校の存在を知る、ということは無駄にならないと断言できる。

僕はこの学校を最終入試の2週間前に知った。それまでは日本の大学を目指していた普通の受験生だった。そしてその肩書きを普通よりも2 年長く続けていた。その間、僕の視野は自覚の無いまま徐々に縮まってゆき、最終的には自分の本当の夢すら見失っていた。夢を無くし結果も出ない僕に残っていたのは、プライドだけだった。この学校に通うと決めた理由も、自分の能力に諦めがつかなかっただけなのかもしれない。

ここの生徒は、進学先の大学を決めるときにスタッフの手助けがあったとしても、自分自身で様々な情報を仕入れなければならない。その過程で、僕は様々な可能性と向き合った。そして、心の底に埋もれていた本当の夢を再認識することができた。
幸運なことに、僕にはその可能性に賭けるチャンスが残っていた。もし、あのまま日本の受験生を続けていたら違和感を抱えながら年老い、本心を土産に三途の川を渡っていたんだろう。

この話はあくまで僕個人の経験であって、その上僕はまだ何も成し遂げていない。
だから他の人の参考にはならないと思う。この一年がただの悪あがきであったのか、それとも偉大なる一歩であったのかは後の結果が教えてくれる。今の自分には満足していない。ただ、僕には未来がある。

PROFILE

Atsuhito Akashi
東京都・東京都立国立高校出身
イギリス キャッツカレッジ・ケンブリッジ校進学