第30期生メッセージ集

自己矛盾のその先へ

自己矛盾のその先へ

台風で吹き飛ばされた町 ダーンバンタヤン、出歩けば埃でドロドロになる街バンガロール、英語の訛りが強すぎる村ポンディシェリ。3年遅れで滑り込んだ大学だったけれど、とりあえず、数カ国を巡り家を建てまくった。ろくに講義にも出ずに、Habitat for Humanity (NGO) の活動に没頭していた。「小さな大学で、何かを学べる気はしない」なんて、気取った事を言いながら。

そんなある日の夜、ヘンテコなお土産を手にインドから帰国すると、ワインを持った父が待っていた。静かなリビングの草臥れたテーブルで、2人で酒を飲み交わした。これまでの日々を埋め合わせるように語り合い、それは最高の夜だった。これからすべき事が、やっとわかったような気がしたから。
そして2日後、なんの前触れもなく、父は早々にこの世から退場していった。
笑ってしまうほど突然だった。

世界は理不尽だ、圧倒的なまでに。

かろうじて並走していたはずの人生のレールがぶっ壊れたので、ついでに大学も辞めた。手続きが簡単すぎて、また笑った。理不尽を吹っ飛ばす力が欲しくなった。世界が少しだけ良くなる瞬間を見たかった。

だから、今、ここにいる。

写真左は、Alice Huh先生

これは、自由に生きすぎたポンコツのストーリーだ。
ここで学ぶのに、壮大な物語は必要ない。覚悟があればそれでいい。
変わるための覚悟ではない、変われないことを受け入れる覚悟だ。
どれだけ足掻こうと、あなたは、結局、あなたでしかない。
勝利・友情・努力が容易くやって来ると思っているのなら、回れ右をした方がいい。
ここは少年ジャンプじゃないんだから。
夢なんて叶わないし、現実はラスボスより強敵だ。

いくら日々を重ねようと、弱さは克服されず、強さなど微塵も見つからない。
世界はそう甘くない。
けれど、薄弱も虚弱も、不安も恐れも、酸いも甘いも、全てを背負いこんででも、それでもその先にあるものを見たいのならば、あなたはこの門を叩く価値が十分にあるだろう。

人生は、最低で、最高だ。

I am the master of my fate; I am the captain of my soul. (William Ernest Henley)
(私は我が運命の主人であり、私は我が魂の指揮官なのだ。)

PROFILE

Kodai Minamimoto【大阪校】
大阪府立泉陽高校出身 同志社大学中退
イギリス国立サセックス大学進学